#504 人様に生かされて

#504　人様に生かされて

　すべての曲は、最初の音から最後の音までが有機的につながっている。したがって曲中のたくさんの段落も、それぞれが完結しているようでそうではなく、ひとつの段落の末尾の音が次の段落へとつながっている。終わりの音がそのまま次の始まりの音になっているのだ。わが夢見るガチョウのコンサートも、日々の暮らしも、これと同じだという気がする。

　ガチョコン４が終わって一週間が過ぎようとしている。その間、出演したガチョウさんことマイ生徒さんたちの中には、コンサートの二日後にすでにグループで練習をしたり、早々に地域のボランティア演奏の予定があったり、どうやらなかなかテンションが下がらない人も多いようだ。が、多くのガチョウさんは、おそらくすでに、いつものようにサンダル履きでスーパーで買物をしておられることだろう。ごちそうを作ってご亭主に「罪滅ぼし」をしておられることだろう。いや、中には、ご亭主に肩と腰をもみもみしてもらっているガチョウさんもおられるやもしれない。

　スーパーと言えば、時々地元のスーパーでマイ生徒さんたちに遭遇する。んにゃ、遭遇するとは向こうの言い分だろう。スーパーなんぞでセンセイとは会いたくもなかろうが、ワタシとてスーパーで買物することくらいある。実はスーパーマンなのだ。だいいち、唐揚げはスーパーＭのものと決めている。スーパーではできるだけ隅っこをこそこそ歩くようにしているが、遭遇してしまったら仕方がない。死んだふりでもしてください。

　さて、大きなホールは、イベントに適した日に借りようとすれば、ずいぶん前に申し込まなければ予約することが難しい。ガチョコン４の中止が決定した数日後、ワタシは再開催の決定を下す前に、来年のガチョコン５開催のために、亀岡市のガレリアかめおかのホールを予約せねぱねばだった。

　このたびガチョコン４が無事終わり、ようやく次のことを考えられるようになったかと言えば、あいにくワタシの頭はそのように柔軟にはできていない。終演後の慰労会でマイ生徒さんたちから
「センセイ、来年のガチョコンはいつですか〜」
　とあっけらか〜んとたずねられ
「わすれま〜した〜」
　とあっけらか〜んと答えたら、みなさんからひんしゅくを買ってしまった。あっけらか〜んに対してあっけらか〜んと答えただけなのに、ひんしゅくを買ってしまうなんて、センセイとは辛いものだ。あっけらか〜んとした問いにあっけらか〜んと答えてはいけなかったのかしら。ワタシだって、たまには可愛くあっけら・・・もういいって。
　とにかく三角、終わったその日が新たな始まり、だそうだ。
「フレーズの終わりの音は、次のフレーズの始まりの音でもあるのであ〜る」
　とのワタシの教えを日常生活に最大限生かしておられるご様子のみなさんに敬服。きっとワタシの教え方がよかったのだ。が、そのせいであっけらかん攻撃に敗れることとなったワタシ。

　ああ、今宵も鹿があっけらか〜んと啼いている。

　１２月には夢見るガチョウの合同発表会である恒例「山の音楽会」が開かれる。ガチョコンとの間がずいぶん近づいてしまった今年。
「センセイ、『山音』はいつにするか決まりましたか〜」
「ま〜だで〜すよ〜」
　これまた大ひんしゅくをいただいた。
　こうして、年中人様の催促によってこの世に生かされているワタシであったとさ、ありがたや、ありがたや。

　おしまい。　
09.09.29 記　

2009/09/30 (Wed) オカリナ TRACKBACK() COMMENT(0)