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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#697 アナログ

 またまたレトロなスピーカーがウチにやって来た。「#683 試 聴」で書いたスピーカーは1976年製だったが、このたびのものはさらに古い。白黒写真から飛び出してきたかのような存在感を放っている。古いことはわかるのだが、型番がどこにも記されていない。画像を頼りにネットで探してみたところ、どうも1960年代後半製だ。結線して聴いてみて、その音色にたまげた。

 始めに、ミッシャ・マイスキーの演奏によるバッハの無伴奏チェロ曲をかけてみた。もちろんCDだ。が、スピーカーから流れ出てきた音は、レコードのそれだった。それは、中学生の頃初めて行った百万遍の「名曲喫茶」で聴いた、クラシックのレコードの音だった。このスピーカーは名曲喫茶のスピーカーよりずっと小さくて高級品でもないが、流れ出てきた音の香りは、まぎれもなくあの時代、60年代の名曲喫茶のそれだった。

 百万遍の名曲喫茶か。親戚筋のおにいちゃん的存在だったK助さん。京大にあるK助さんが勉強している研究室に行った帰りに、K助さんに連れられて行ったっけ。とっくに無くなったけど、なんて名前だったかなー。
 京大のすぐ近く、百万遍の交差点の建物の二階にあったあの店。二階へとつづく狭い木造の階段にまでコーヒーの香りが流れ出してきていた。木枠にガラスがはめ込まれたドアを押し開けて店内に入ると、タバコの煙が充満していた。煙の向こう側で静かな音楽が流れている。客はほとんどが京大生か京大関係者だ。ずいぶんきゅうくつに配置された古びた木のテーブルで、本を読んだり、ノートに鉛筆を走らせたり、数人で談笑したり、何か一所懸命に話し合ったりしている。男はみんな髪が長い。その間の木の床の上を、コツコツと心地よい足音を立ててウェイトレスが行き来している。
 そこはそれまでワタシがまったく知らなかった世界なのに、ずいぶん居心地が良く感じられた。通い慣れた風にくつろぐK助さん。当たり前のようにコーヒーを注文する。ワタシも右に倣えとコーヒーにする。ちょっと大人になった気分だ。そうか、京大生ってのはみんなこんな風なのか。けっこう楽しそうじゃないか。

 このたびウチにやって来たスピーカーを鳴らしたとたん、こんな思い出が次々に甦ってきた。このいただきモノのスピーカーはトリオの製品だ。近頃のスピーカーよりも音がずっと奥に引っ込んでいる。それは今で言う「こもった音」だと言える。ところが、ワタシのバアイだが、しばらく聴いているとすぐに耳になじんで、居心地のいい部屋にいるようなリラックスした心持ちになってくる。このスピーカーでしばらく聴いた後で今様のスピーカーに切り替えて聴くと、ずいぶん角があり冷たい音に聴こえる。

 そう言えば、アナログ時代に作られたこれらのスピーカーは、CDを再生することを前提に作られてはいない。そしてこのトリオのスピーカーは、これまで一度もCDを鳴らしたことはなかった。だから、CDを鳴らしてみていちばん驚き、時の流れを感じたのは、ワタシではなくこのスピーカーだったやもしれないな。が、何をかけても白黒写真の時代の香りに味付けしてしまうこのスピーカー。音の良さとはけっしてクリアさだけではなく、ましてワタシがけっして信じない「リアルさ」ではないことを、時を超えて語りかけてくるようだ。アナログ時代の音楽が今よりも劣っていたなどということはあり得ない。その本質をこそ、このスピーカーは存分に伝えてくれる。
 今、ソニー・ロリンズのサックスをかけている。モノラル録音。こいつもストライクだ。今度はあっと言う間にジャズ喫茶だ。

 おしまい。 
10.11.18 記 
トリオのスピーカー。型番不明。25x45x19.5cm。
トリオスピーカー

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自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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