#281 点で生きている

#281　点で生きている

　車の中は屋内か屋外か、と問う。多くの人は屋内だと感じているのではなかろうか。暑い夏にはそこは温室またはサウナとなる。が、法律というものはときに意外な判断を示す。駐車中の他人の車に勝手に乗り込んでも、それだけでは不法侵入にならないそうなのだ。つまり、法的には車の中は屋外だということだ。

　が、ワタシ的には運転中は自分の部屋が移動していると感じているむきがどこかにある。だから、見知らぬおっさんがワタシの車に勝手に乗り込んで眠っていたら、おっさん何しとるんやっ、出て行かんかいっ、と怒るにちがいない。が、おっさんは無罪なのだと。なんか納得がいかんなー。

　それはともかく、車内が屋内だという感覚は、移動をほとんど車で行なう者にとっては自身の世界を格段にせばめている。
　自分の家から離れの移動式部屋に移って、そのまま目的地に着いて建物の中に入る。つまり、自分の世界は点の上でしかない。点と点をつなぐ線というものがどこにもない。それは、線と線が描き出す面と、面と面が生み出す体がないことをも表わしている。

　点で生きている。悲しい。

　が、問題は移動のあり方だけにあるのではあるまい。移動をすべて歩いてしたとしても、ぼーっと考え事をしてばかりいては、自分の頭の中、すなわち点の上で生きているに等しい。
　ということは、人間はほとんどの時間は点で生きているのか。よかった。・・・よくないか。

　おしまい。　
08.07.11　

桔梗のつぼみと花。
　

2008/07/13 (Sun) 雑　感 TRACKBACK() COMMENT(0)