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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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この一週間、毎日炎天下でこんなものを作っていた。
「猪囲い」と言う。


夜中にやって来てこんなことをする猪をシャットアウトするためだ。


拍手[2回]


ほんの数日でこんな散々な様子にされた場所が、ウチの地所に合計2アールはある。
ウチの猪囲いが風雪で壊れて五年前に撤去されたままだったからだ。
夜中に猪が数日間通い続けていたのに気が付かなかった。
寝所から10mもない所まで来ていたというのに。
子どもイノシシを懐中電灯で視認、少なくとも二頭の鳴き声も確認した。
親子で落ちた青柿やミミズを食べていた。

田畑のすぐ横まで踏み入った足跡もある。


米と野菜がピンチだ。
で、猪囲い復旧作戦発動。

ちなみにこの一週間は記録的猛暑だったが、幸い作業対象スペースの一部が木陰だったので、一日数時間の野外作業をなんとかやり通せた。

以下、例によって誰のためにでもない猪囲い施工の記録を。

_ _ _ _ _ _ _ 

・着工日:2013年8月17日(土)
・総延長:約50m
・トタンの数:約40枚
・杭の数:95本

 釘は使わずトタン板を2〜4本の杭で挟み、針金で縛るという手法を採用。
(釘でトタンを杭に打ちつけると補修・撤去のときに困る)
 囲いの両端をお隣の猪囲いに接続する形。


 杭打ちセット(穴掘り機、掛矢大=3㎏、掛矢小=1㎏、杉の杭)
(杭には栗の木が丈夫で重宝するが、杉の杭は掛矢でクリーンヒットしたときの音と感触が最高)


・材料の調達:針金と杭2本以外はすべて廃物利用。

 まずは土手下にあるお隣の使わなくなった猪囲い20mをバラして(トタンがすべて杭に釘で打ちつけてあった!)、古トタンと杭をかついで上がり、まだ使えそうな杭の先端を鉈で削って再生する作業から開始。

 トタンと杭は、五年前までウチの猪囲いに使っていたものも併用。

 次に、隣の山へ登って、廃棄されたシイタケ栽培地の杭を十数本引き抜いてきて再生。

 その後もう一度山へ登って、お隣の用具小屋から中古の杭を十数本持ち帰る。いただきもの。

 途上でお隣の猪囲いの壊れた箇所を発見、補修。


・杭打ちとトタンの取り付け:

 大小のトタンを実際に並べて位置決めし、トタンの一端に二本ずつ杭打ちするのが基本型。

 二本の杭の間にトタンを挟み込んでは次の杭を打っていく。

 一段落したら針金で杭同士を縛り付けていく。


 足元は丸太や石で固める。


・水路の両脇の斜面への取り付け:

 水路を塞ぐ格子網には、打ち捨てられていたネズミ取りだかイタチ取りだかの檻を解体して使った。


 これで5分の3。
 左手の杉林の中に立つ支柱と杉の木には、3月〜4月に張った高さ2mの鹿除けネットがある。


・完成日:2013年8月23日(金)


記録、以上。
_ _ _ _ _ _ _

子どもの頃の秘密基地作りを思い出した。

問題は、これがあと何年持つかだ。
十年は難しかろう。
その先は…考えたくないw


囲いができ上がるまで、これでしのいでいた。
爆竹をバラして、森林香という山仕事用の分厚い虫取り線香にボンドで貼付けた「時限爆弾」だ。
猪も鹿も猿も熊も虎も驚いて逃げる。
実用新案ものだが、爆竹をバラすのは禁止行為なので申請できないでいるw
(危険なので良い子は真似しないでくださいね)



猪も鹿も、里の人間に嫌われ、憎まれる。
「けものは悪いことばかりする」
「あんなものはおらん方がええ」

が、言いたい。
動物に罪は無い。
憎むべきものがあるとすれば、見境無く山を拓き、材木が売れなくなれば山を捨て置いて荒らし、動物たちの生きる場所を奪い続けてきた人間ではないのか、と。
だからワタシは猪囲いや鹿除けネットを作りながら、禍々しい文明の魔の手からこの土地と田畑を守るために囲いを作っているのだと自らに言い聞かせていた。
そしてそれは延いては、逆に柵の外の猪や鹿を、つまり我々が文明以上に恩恵を受けている自然そのものを守ることになるのだと。
ひとつには、ワタシがワタシの土地の上で自然の理に沿った生き方をするという意味において。
もうひとつは、里へ下りてきた獣を殺すことは何の解決にもならないという意味において。

動物たちこそは最大の被害者なのだ。
里へ下りてきて殺される前に、貧しくなってしまった山で細々と生きる術を見いだしてほしいから、ワタシは猪を追う。
里は踏み入ってはならない別世界なのだと気づいてほしいから、結界を作る。
だから、ミミズの匂いがしても、稲穂の香りが届いても、決して立ち入れない世界があるということを、人は猪に示し続けねばならない。
下りてきた動物を殺すことは何の解決にもならない。
動物たちが進んで帰ることができる環境を少しずつ整え、境界を明確にし、気長に追い返し続けることで、お互いが自然の理に沿った生き方となっていく。

明治の世になり奥山へ立ち入って狼を滅ぼしてしまったから、鹿が増えすぎて里へ下りてきた。
雑木を片っ端から切り倒したから、木の実が無くなり熊や猪が下りてきた。
損害を生じさせた真因を探ること無く、ただ目の前の害をなすものに罪を着せ、憎み、排除しようとする人間の態度は、田畑で虫や草を農薬で殲滅しようとする態度と同じだ。
それは自然のバランスを壊し、その結果さらなる農薬や殺戮が必要となり、大地を痛めつけ、ますます自らの心身を損なうという悪循環を招いている。
それは、文明の自家中毒症状のひとつと言えるだろう。
必要以上に手を入れず、足を踏み入れなければ、自然は自ら絶妙のバランスを保ち、人間に最大の恩恵を永続的に与えてくれることを、人はいつから忘れてしまったのか。

立ち入らない。
立ち入らせない。
かくて、動物たちと人との共存は不可侵を第一義とするという、かつてはどこの世界にも見られたユートピア法が復活する。
そうして、山の罪無き者たちは復権を果たし、里の罪深き者たちはあらゆる独善的権利の放棄を迫られ、ただ数多の生き物の内のひとつとしてローカルに生きることだけを許される。
そしていずれは、それが何よりの幸福であると悟ることとなる。

 おしまい。 
13.08.24 記 
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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