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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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稗(ヒエ)は田んぼに生える雑草で、穂を出すまでは稲と酷似する。
この田んぼの稗は、主に田犬稗(タイヌビエ)のことで、昔の人が栽培して食べた稗とは違って食べられない。
長年田んぼをやっている人でも、稲と稗を見分けられない人は多い。
が、マイ田んぼにおいて、緊急に稲と稗を見分ける必要に迫られた。
最悪と言っていいほどの昨今の渇水状態のせいなのだ。

拍手[2回]



これが稲の苗。


で、これが稗の苗。


こぼれ種が自生した稲(左)と稗(右)が並んで生えている。(16.06.23)



見分け方については、ネット上でたくさんの記事が見つかる。
が、どれを見ても、かえって混乱してしまっていたワタシ。
なぜなら、どの記事でも識別ポイントがあいまいで、しかも不要に多い気がするからだ。
「稗の葉には白い筋が葉先まで入る」
必ずしも入ってない。
「稲の茎は固い」
小さな苗のうちは差がない。
「稗は根元が平たい」
この点も苗のうちはほとんど差が見られない。

小さな苗のうちに見分けて稗を取り去ることが肝要なのだ。


稗の葉。これは白い線がはっきり出ている。



最もはっきりした識別ポイントはこれだ。
「稲は葉の根元の節のような所にごく短い毛が生えているが稗にはない」
これは明確だ。
あるかないかだ。
が、それもまた、短過ぎて実物を見てもなかなかわからないときている。
小さい苗のうちはなおさらだ。
で、稲と稗の識別が身に付かないまま年月が過ぎていった。

さて、今年は渇水によって、緊急に稲と稗を識別する必要に迫られた。
なぜ渇水だとそうなるのかは後で述べる。
で、昨夜、ネットで写真を探しまわった。
稲の「毛」の写真だ。
見つかるのは写真の素人さんが撮ったものばかり。
わかりやすいものに出会えない。
ままよっ、上記の識別ポイントに沿って現場で手探りするしかない。

で、きょう。
徹底的に観察した。
幸い、稲も稗もかなり成長したものが増えて、細部が見やすくなっている。
ワタシは、一日で、とうとうほぼ完璧に見分けられるようになった。
まずは「当り」の付け方として、成長の度合いによる判別がある。
この時期、全般に稗の方が大きくなっている。
だから、目立って大きいものはほとんど稗だ。
そして、色も濃い。
稲は、成長の度合いが概ねそろっている。
こうしてある程度見当を付けて観察すれば、識別の時間が短縮できる。
が、成長の度合いには例外もある。
特に稗は、大小ピンキリだ。

結局は、明確な識別ポイントは次の一点しかないと結論した。
「稲には毛が生えている」


これが稲の毛。(16.06.23)


もうひとつ(16.06.23)


もうひとつ



人差し指が指している所に節のような白い線が見えるが、その端にわずかに白い毛が「もしゃもしゃと」生えている。

夜明け前後の朝露が下りる時間帯には、毛に露が付いて見つけやすくなることも発見。


稗には毛が生えていない。(16.06.23)

それとは気付かず田植えしてしまった稗。
周囲の稲より大きく、色が濃い。(16.06.23)




さて、なぜ突然にここまで稲と稗の識別に執着するようになったのか。

今年から借りたこのマイニュー田んぼ。
五月末になって、いたる所に稗とおぼしき苗が伸び始めて来た。
毎年のことだから別段珍しくないし、特に気にも留めてなかった。
が、一週間前、自然農仲間のF君が、田植え前のマイ田んぼをのぞきこんで、のけぞりかけてこう言った。
「うわー、米がいっぱい生えてる」
F君は長年一人で広い自然農田んぼをやっている大先輩だ。
さすがに立ち所に稲と稗を見分けてしまった。

いや、そんなことに驚いている場合ではない。
田植え前の田んぼに「米がいっぱい生えてる」のであるぞ(「稲が」と言わずに米と言うところがなかなかおかしいが)。
種籾を播いてもいないのに。
そこにこそ驚くべし。

どうやら、昨年の稲刈りの際にこぼれた籾が発芽したようだ。
実は、そういうことはしょっちゅうあってしかるべしなのだ。
稲刈りしたら、どうやっても籾が地面にたくさんこぼれるからね。
が、昨今の慣行農法。
収穫後はトラクターで田んぼをかき回す。
こぼれ種は地中深く埋まってしまい、多くは芽を出せない。
が、マイ田んぼは、もう耕作をしないと決まった昨秋以来一度もかき回していない。
そんなわけで、大量のこぼれ種は地表近くに留まり、めでたく芽が出てそれは芽出たかったという次第。

おまけに、ワタシが地表一面に草やワラを敷いて養生したものだから、水を張っていないにも関わらずたくさんの「米」が芽を出しやすい環境となっていたというわけだ。

さてさて、では、それがこの渇水状態といかなる関係があるのか。
それはつまり、このまま十分な雨が降らなければ、マイ苗代ですくすく育っている苗たちは、適期に田植えをしてもらえず、以後十分に育たなくなる可能性がある、したがってこぼれ種の苗たちは予備の苗としてへんたいありがたい、ということなのだ。
何せあるがままの自然環境のなかで生き延びた子たちなのだから、苗代で手厚く育てられた子たちよりたくましく育つこと請け合いだ。

が、その貴重な稲の苗を残すつもりで稗まで残してしまっては、あとあとひどい目にあう。
伸びた稗は刈っても刈っても次々に葉と穂を出し、手に負えなくなるのだ。
それに、すくすく育ちつつある苗を何の疑いもなく数ヶ月間一所懸命に世話をしたら、夏になって稗の穂を出して意気消沈したということはこれまでも何度かあったし。
以上、稗早期駆除大作戦発動の由。


もともとマイニュー田んぼは、山から流れ出て来る幅5㎝にも満たない細流に頼っている。
それがこの日照り続きの空梅雨のせいで、数日前から完全に途絶えてしまっているのだ。
今は、一週間前に奇跡的に発見した別の水源だけが、田んぼの貯水溝にちょろちょろと奥ゆかしく水を供給している。
が、三月に田んぼの周囲と中ほどに掘った貯水溝の水は、日に日に減っていく一方だ。
これではとても田植えはできない。
苗を田んぼに移しても、多くは十分育ってくれないにちがいない。

そんな折りに見つかったたくさんのこぼれ種苗。
野生化稲だな。
この子たちはさすがに水無き試練に耐えて生き残った子たちだ。
すこぶる強い。
大きいものはすでに30㎝にまで育っているではないか。
この子たちを生かさない手は無い。
苗代で田植えを待つ苗たちと共に大切に育ててやるべし。


30㎝に育った野生稲の苗。



話は稲と稗の見分け方にもどる。
きょうは、田んぼの半分を這いずり回って、必死の研究観察を続けながら、徹底的に稗を駆除した。
またしても驚いたことに、予想に反して、稗よりも稲の苗の方がずっと多かった。
野生稲の苗の数は10や20のオーダーではない。
300本以上あるのではないか。


ここでは、稲と稗が混生していてへんたい識別し辛い。



農家の間では、こぼれ種が育った稲はいやがられるそうだ。
それらは田植えされた苗に比べて茎と根の結節点の位置が浅いため、籾が実った暁には倒伏しやすいからなんだって。
倒伏した稲は、他の稲に寄りかかってそれらも倒してしまうからだと。

マイ田んぼの場合は、可能な限り自然状態を維持するという方針のため、こぼれ種がたくさん発芽したら、それはもう大歓迎だ。
何もせずとも稲が生えた、これぞ自然の恵みだ、めでたいめでたいありがたい、とばかりに、お祝いの宴を催そうかというほどだ。
倒伏しようが一服しようが着服しようがお構い無し。
だいたい慣行農法や冬期湛水の水田のようにたくさんの水を張らないので、倒れてもたいした被害にはならない。


ところで、肝心の苗代の現況はこんな風だ。
すくすく、ふさふさと育ってくれた。


こっちは田んぼの中にこしらえた予備の苗代。
とってもテキトーに作ったのに立派に育っている。
で、周囲には野生化稲がたくさん生えているのが見える。



田んぼの端っこに実験的に少しだけ直播きもしたが、こちらも苗代と同じくらい成長している。

てことで、目下は野生稲がいちばん元気よく育っているという状況だ。
秋にはどんなことになっているか。
すべては水次第。
お天気次第。
雨乞い師見習いとしても、今こそ祈祷に全力を上げねば。


 おしまい。 


13.06.14 記
13.06.16 大幅加筆修正
16.06.23 写真追加/修正 


苗代の端っこに澄ました顔で生えている稗







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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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