揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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中電がマイクで事務的に退去を呼びかける。
「作業の妨害は違法な行為です。直ちに退去して下さい」
島民側も黙ってはいない。
マイクをつかんで叫ぶ、おばちゃん、よろずやの店主、美容師。
いずれも心の叫びだ。
中電とは迫力が違いすぎる。
「作業の妨害は違法な行為です。直ちに退去して下さい」
島民側も黙ってはいない。
マイクをつかんで叫ぶ、おばちゃん、よろずやの店主、美容師。
いずれも心の叫びだ。
中電とは迫力が違いすぎる。
おばちゃん「原発を建てたら海が汚れるのはわかっているのに、なんでそんなものを建てようとするかっ」
よろずや店主「原発ができてもできなくても、島民の推進派と反対派のいがみ合いは残ったままになる。机の前でマニュアル通りの仕事しかしてないお前らにその苦しみがわかるのかっ」
美容師さんはマイクなしで叫ぶ「命をかけてやったことがあるかっ、何かをっ」ふるえている。
「妨害は違法だと言うけど、(原発建設は)違法よりもっと悪いわっ」
美容師さんはいつも阻止行動を終えて帰宅すると、ご主人の亡きご両親の仏前に報告する。
「おとうさん、おかあさん、きょうも阻止できました。ありがとうございます」そして泣いた。
「義母は最後の最後まで原発のことを気にかけてました。ここまで一所懸命になれるのは、おかあさんが付いているような、乗り移っているような気がするんです」
「人間としての基本を守ろうとしたら、自然…(を守らなければならない)。金じゃない」なんのてらいもなく言い切った。
美容師さんのご主人は、島にUターンして漁師と大工をしている。
翌朝、単身船で上関原発建設予定地に向かった。
到着すると、埋め立て用のコンクリートブロックの上に一人で座り込んだ。
穏やかな顔で、岩のように押し黙ってただひたすら座り続ける。
中電の警備員は、まるでご主人の静かな威厳に気圧されたかのように、誰一人手出しが出来ない。
ご主人は、撮影当時五ヶ月間毎日こうしていたという。
この人たちの抗議・阻止行動は、この日このときだけのものではない。
この人たちはこのような身体を張った行動を、三十年間続けてきたのだ。
以下、島の人々の語録を。
先の美容師さんのご主人は、かつて福井の原発で作業員として働いていた。
「二号機でパイプの取り替えなどをやっていた。…作業後、作業員全員の白血球が減少していた。人間がする仕事じゃない、金より健康だと思った」
「(上関原発建設計画が持ち上がって)いちばん悔しいのは、人間同士の争いかな。友達、親戚を引き裂くひどいやり方だ」
この島には他にも元原発作業員が少なからずいて、その人たちの体験談は、この島の原発絶対反対運動に大きな影響を与えている。
島でただ一人の女性漁師のおばちゃんは、島一の芸達者だ。
いつもユーモアたっぷりで、みんなを大笑いさせる。
町会議場で「女性の腕を掴んだらいけんよ」と言ったのもこの人。
ヒジキ漁が解禁になった冬のある日、いつものはっきりした口調でこう語った。
「(海は)わたしらの命。ここで生活して大きくしてもらった。海と山がないと生きていけん。これまで守ってもらってきたから、これからもずっと守っていきたい」
島の南東部に、城壁かと見まがう棚田がある。
Tさん(72)のおじいさんが独力で山から大岩を切り出して作ったのだ。
「人間というものは、自分が生活していく上で目線をどこに置くかが大事だと思う。今は背丈以上の所を見ている人が多いのでは」
「昔の人は、苦しくても耐える力を持っていた」
「おじいさんは、田んぼはお前の孫の代で何もなくなる、元の原野に還ると言ってました。それでも悔いはない、と」
鯛に語りかけながら一本釣りをする漁師のおじいさんと奥さん。
夫「海は私らの財産だ」
妻「(原発建設の)苦しみは地元民にしかわからん。離島だから働き場所は海山だけ。宝の海を絶対に汚してはならない。島のみんなが同じ気持ちでいる」「人の心は推進派も反対派も同じ。本当はみんなが海を守りたいと願っている。原発は人の心をずたずたにする。祝島はみんなが兄弟のようだったのに」
夫「元気でいれば、いつかまた仲良くなれるときもくると思う」
明けて一月二日。
恒例の新春デモの日だ。
この島での原発反対デモは、現在までに千二百回を超えているはずだ。
海と、自然と、そして隣人たちとつながって生きる祝島の人々。
そこには大いなる安心がある。
その安心を大きく揺るがすものが原発なのだ。
海とつながって生きているから、自分の命を支えている海が汚されるから、祝島の人々は本当に当たり前に命がけで戦っている。
この戦いの意味を身体で知っている祝島の人々こそ、真の賢者だとワタシは思う。
反対派そして心ならずも推進派に身を置く人の真の敵は、電力会社と国であるはずだ。
それを、住民同士の対立という構図にすり替え、「時代の流れ」という鼻薬を嗅がせ、補助金という麻薬で人々をコントロールしようとする電力会社と国。
人の心の弱みに付け込み、価値観を押し付け、生き甲斐を奪い、その上いざというときには人々を顧みない、敵の謀略。
祝島の人々は、この真の敵を見誤ってはいない。
いや、この戦いはもしや、人の弱みに付け込む者、付け込まれる者双方の心の弱さとの戦いなのやもしれない。
棚田で種籾播きをするおじいさんの映像を最後に、映画は静かに幕を下ろしていった。
自分の中の時間の流れがずいぶんゆっくりになったような気がした。
そして、また少し、人間を好きになったようだ。
●「祝の島」公式サイト
よろずや店主「原発ができてもできなくても、島民の推進派と反対派のいがみ合いは残ったままになる。机の前でマニュアル通りの仕事しかしてないお前らにその苦しみがわかるのかっ」
美容師さんはマイクなしで叫ぶ「命をかけてやったことがあるかっ、何かをっ」ふるえている。
「妨害は違法だと言うけど、(原発建設は)違法よりもっと悪いわっ」
美容師さんはいつも阻止行動を終えて帰宅すると、ご主人の亡きご両親の仏前に報告する。
「おとうさん、おかあさん、きょうも阻止できました。ありがとうございます」そして泣いた。
「義母は最後の最後まで原発のことを気にかけてました。ここまで一所懸命になれるのは、おかあさんが付いているような、乗り移っているような気がするんです」
「人間としての基本を守ろうとしたら、自然…(を守らなければならない)。金じゃない」なんのてらいもなく言い切った。
美容師さんのご主人は、島にUターンして漁師と大工をしている。
翌朝、単身船で上関原発建設予定地に向かった。
到着すると、埋め立て用のコンクリートブロックの上に一人で座り込んだ。
穏やかな顔で、岩のように押し黙ってただひたすら座り続ける。
中電の警備員は、まるでご主人の静かな威厳に気圧されたかのように、誰一人手出しが出来ない。
ご主人は、撮影当時五ヶ月間毎日こうしていたという。
この人たちの抗議・阻止行動は、この日このときだけのものではない。
この人たちはこのような身体を張った行動を、三十年間続けてきたのだ。
以下、島の人々の語録を。
先の美容師さんのご主人は、かつて福井の原発で作業員として働いていた。
「二号機でパイプの取り替えなどをやっていた。…作業後、作業員全員の白血球が減少していた。人間がする仕事じゃない、金より健康だと思った」
「(上関原発建設計画が持ち上がって)いちばん悔しいのは、人間同士の争いかな。友達、親戚を引き裂くひどいやり方だ」
この島には他にも元原発作業員が少なからずいて、その人たちの体験談は、この島の原発絶対反対運動に大きな影響を与えている。
島でただ一人の女性漁師のおばちゃんは、島一の芸達者だ。
いつもユーモアたっぷりで、みんなを大笑いさせる。
町会議場で「女性の腕を掴んだらいけんよ」と言ったのもこの人。
ヒジキ漁が解禁になった冬のある日、いつものはっきりした口調でこう語った。
「(海は)わたしらの命。ここで生活して大きくしてもらった。海と山がないと生きていけん。これまで守ってもらってきたから、これからもずっと守っていきたい」
島の南東部に、城壁かと見まがう棚田がある。
Tさん(72)のおじいさんが独力で山から大岩を切り出して作ったのだ。
「人間というものは、自分が生活していく上で目線をどこに置くかが大事だと思う。今は背丈以上の所を見ている人が多いのでは」
「昔の人は、苦しくても耐える力を持っていた」
「おじいさんは、田んぼはお前の孫の代で何もなくなる、元の原野に還ると言ってました。それでも悔いはない、と」
鯛に語りかけながら一本釣りをする漁師のおじいさんと奥さん。
夫「海は私らの財産だ」
妻「(原発建設の)苦しみは地元民にしかわからん。離島だから働き場所は海山だけ。宝の海を絶対に汚してはならない。島のみんなが同じ気持ちでいる」「人の心は推進派も反対派も同じ。本当はみんなが海を守りたいと願っている。原発は人の心をずたずたにする。祝島はみんなが兄弟のようだったのに」
夫「元気でいれば、いつかまた仲良くなれるときもくると思う」
明けて一月二日。
恒例の新春デモの日だ。
この島での原発反対デモは、現在までに千二百回を超えているはずだ。
海と、自然と、そして隣人たちとつながって生きる祝島の人々。
そこには大いなる安心がある。
その安心を大きく揺るがすものが原発なのだ。
海とつながって生きているから、自分の命を支えている海が汚されるから、祝島の人々は本当に当たり前に命がけで戦っている。
この戦いの意味を身体で知っている祝島の人々こそ、真の賢者だとワタシは思う。
反対派そして心ならずも推進派に身を置く人の真の敵は、電力会社と国であるはずだ。
それを、住民同士の対立という構図にすり替え、「時代の流れ」という鼻薬を嗅がせ、補助金という麻薬で人々をコントロールしようとする電力会社と国。
人の心の弱みに付け込み、価値観を押し付け、生き甲斐を奪い、その上いざというときには人々を顧みない、敵の謀略。
祝島の人々は、この真の敵を見誤ってはいない。
いや、この戦いはもしや、人の弱みに付け込む者、付け込まれる者双方の心の弱さとの戦いなのやもしれない。
棚田で種籾播きをするおじいさんの映像を最後に、映画は静かに幕を下ろしていった。
自分の中の時間の流れがずいぶんゆっくりになったような気がした。
そして、また少し、人間を好きになったようだ。
●「祝の島」公式サイト
おしまい。
11.08.24 記
11.08.24 記
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追 記
上関町議会の決定に反する祝島島民の妨害行動が法治国家の国民として許されるか。
これについては、別の機会に述べたいと思います。
今言えることは、議会の決定が民主的なものであったとは到底言えないという事です。
そもそも、すべての原発は、主に大都会の住民が使う電気を作るものであるにも関わらず、人口が少ない地域に建てられていることが、決定的に非民主的です。
祝島のおっちゃん「原発がそんなにええもんやったら、広島の中電本社前に建てろっ」
さらに、原発の危険が及ぶ範囲が立地自治体だけではないことは、福島の事故を見るまでもなく明らかです。
にも関わらず、立地自治体だけで建設を決定することも、非常に非民主的です。
これらの点に関係する法制度に十分な検討が加えられてこなかったことは、国会始め全国の地方議会の怠慢であり不誠実であり謀略であると言えます。
巴だ
これについては、別の機会に述べたいと思います。
今言えることは、議会の決定が民主的なものであったとは到底言えないという事です。
そもそも、すべての原発は、主に大都会の住民が使う電気を作るものであるにも関わらず、人口が少ない地域に建てられていることが、決定的に非民主的です。
祝島のおっちゃん「原発がそんなにええもんやったら、広島の中電本社前に建てろっ」
さらに、原発の危険が及ぶ範囲が立地自治体だけではないことは、福島の事故を見るまでもなく明らかです。
にも関わらず、立地自治体だけで建設を決定することも、非常に非民主的です。
これらの点に関係する法制度に十分な検討が加えられてこなかったことは、国会始め全国の地方議会の怠慢であり不誠実であり謀略であると言えます。
巴だ
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19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
管理人について
HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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