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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#296 文明の色と白ふんどし

 前便の続編。奥丹後・琴引浜の海岸は、見た事もないようなきめ細かな白砂でおおわれていた。踏むと「きゅっ、きゅっ」と音がすることから鳴き砂と呼ばれている。浜のはずれの岩場に、水中メガネとシュノーケルを付けて潜ってみた。はたしてそこは、生い茂る海草と色とりどりの貝が陽光にきらめく別世界であった。そのすき間をコバルトブルーの海と同じ色をした魚がすり抜けるように泳いでいる。手を伸ばすと、ブルーに紫の横縞が鮮やかなその魚は、恥ずかしそうにするりと逃げた。

琴引浜の波打ち際
鳴き砂

 さて、透き通ったガラスを重ねてゆくと、そのうちに青みがかかってくる。何十枚も重ねれば、ガラスの束は深い青色と化す。このことは、青という色が透明な「もの」が重なって生まれる色であることを示している。透明な空気が重なれば青い空となり、透明な水が重なれば青い海や湖となる。

 限りなく透明に近い海は、その内側に光が射し込むとき、さまざまな色を映し出す。それはコバルトブルーであったり、エメラルドグリーンであったり、パープルであったりする。富栄養化した透明度の低い海では、射し込んだ光の一部は海の内に取り込まれてしまい、外へと帰ってこない色が多くなる。輝くようなブルーやグリーンは生まれず、どこか陰りがある色合いとなる。

 高校一年の夏、緑豊かな三宅島へ渡った。その帰り、フェリーで東京へ向かったときのこと。夜明けとともに出た船が東京湾に入ったとたんに、海の色が劇的に変わった。それは、灰色というよりも、真っ黒だった。ワタシは、真っ黒な海面を重々しくかき分けて暗い灰色の波しぶきを立てて疾走するフェリーの舷側から、目をはなすことができずにじっと見つめつづけていた。そのうち、行く手には巨大な東京シティーが現われ、そのうめき声が聴こえてきた。

 京都府最北部の奥丹後と呼ばれる地域は、地形的地理的理由によって交通網の整備が遅れているという点で、現代の陸の孤島のひとつだと言える。人は少なく、商工業の発展からほぼ見放されている。そのことの是非を問う前に、海の輝きを見つめ、青い海、透明度というものの価値について深く思いを馳せてほしいと願う。
 東京湾の海の色は、カラフルな文明の色とは、どんな輝きをも取り込んでしまって二度と帰さない漆黒と裏腹のものであることを教えてくれた。一方、奥丹後の老漁師の純白のふんどしと手ぬぐいは、コバルトブルーやエメラルドグリーンの海の輝きとともに生きる者の歓びと誇りと畏れを映し出していた。

 おしまい。 
08.08.11 記 
琴引浜から沖合を望む。手前に広がる抹茶色は岩場に生い茂る海草。
琴引浜

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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
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