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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#294 鐘の音

 京都で育ったせいか、お寺の鐘の音にはうるさい。鐘つき男になろうかと思ったことがあるくらいだ。
 これまで聴いた鐘の音でいちばんきれいだと思ったのが、以前住んでいた山里のお寺のものだった。無住の寺だったため、集落の人が毎日交代でついていた。その澄んだ音色を毎日聴けたことも、その地に長く住んでいた理由のひとつだった。高知の四万十中流のお寺の鐘も美しかった。南山城の岩船寺の小さな鐘も味わいがあった。で、きょうはひとしお美しい鐘の音が全国に流された。

 8月6日は、広島に原爆が投下された日だ。広島の平和公園では毎年平和記念式が開かれ、平和の鐘がつかれる。この平和の鐘、たいへん澄んだ美しい音がする。古いお寺のものほど味わいはないかもしれないが、新しい技術で作られたものだけあって、混じりけが少ない、よく伸びる音だ。思わず聴きほれてしまう。

 鐘の音が消え入るまでは、人は祈りの内にあるべきだろう。ところがこのせわしないご時世、鐘がつかれてわずかののちには、人々はざわざわとしはじめる。晩メシのことを考え始める。テレビの番組が気になり始める。はたまた、人の目が気になり始める。四国八十八カ所霊場のひとつ、高知の岩本寺の鐘は誰でもつかせてもらえるのだが、ワタシがついてその場でまじめに瞑目していると、うしろに並んでいたおばはんが「まだですかっ」とせっついた。ありがたみも何もない。

 今年の広島の平和式典には、ロシアのほか中国の代表も参列した。広島市長はあいさつの中で「アメリカに核廃絶を支持する大統領が誕生することを期待する」と述べたそうだが、そのような大統領が誕生すれば、アメリカ代表が式典に参加することもあり得るかもしれない。それは、世界から核を廃絶するためのまことに大きな一歩になることは疑いがない。

 鐘の音には、さまざまな悲しみが着いて回る。美しければ美しいほど、悲しみは深まる。その悲しみは、人間が背負いつづけるであろう根源的な悲しみであるように思える。生まれてきたことの悲しさ、生きてゆくことの悲しさ、愛することの悲しさ。人はぬぐい去れない悲しみをたずさえて生きてゆかねばならないもののようだ。であれば、それ以上の悲しみはふやしたくない。ふやすべきではない。
 広島の平和の鐘の音を聴くときに広がる悲しみの彼方に、希望の光を見いだせる日はいつ来るのだろうか。

 おしまい。 
08.08.06記 
ムクゲ
ムクゲ

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演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
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