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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#180 タヌキ受難

 夜に車でオカリナのレッスンに向かう途中、小さな峠道にさしかかったところのまっくらな道の真ん中に、一匹の丸々と太ったタヌキが横たわっていた。どうやら車にはねられたようだ。田舎道ではしょっちゅう出くわす光景だ。車でそろそろと近付くと、まだ生きていてこちらを見た。せめて道路脇にどけてやろうと思って車から降りた。

 そこへ、峠の上からまぶしいヘッドライトが近付いてきた。このままではまたひかれてしまうかもしれないので、ヘッドライトに向かってタオルを振って徐行するように合図した。合図に気が付いて徐行した軽ワンボックス車がゆっくりと止まり、知らないおじさんが窓から柔和な顔を出した。おじさんはワタシの顔とタヌキを見比べると、開口一番、やさしそうな声でこう言った。
「車は大丈夫か?」
「ワタシは通りがかっただけであります。まだ生きてるんで、道からどけようと思ったのであります」
「・・・そうか」
 おじさんの軽ワンボックス車はゆっくりと立ち去った。

 おじさんのひとことにショックを受ける人は多いと思う。しかし、これが田舎の人の普通の反応なのだ。

 おじさんの「車は大丈夫か?」の真意は、こうだ。
「タヌキが飛び出して来たら避けられんわな。誰も好き好んでタヌキなんかひきたくはないが、飛び出して来るもんはしょうがない。タヌキにはなんの罪もないが、こんな山奥にでも道を付けんことには、わしらの暮らしは成り立たんわな。田舎で暮らしておったら、誰でも一度や二度は『けもの』をひいてしまうことはあるが、そのたびにああ可哀想じゃ可哀想じゃと言うててもらちがあかんわな。どのみちあれこれと殺生をせなんだら、こんなところでは生きてはゆけん。それが、田舎で生きていくと決めた者の覚悟じゃわな。善人ぶってもしかたないわな。タヌキをひいてしまうのもお互いさまじゃわな。しょうがない、しょうがない」

 ワタシがタヌキにふれようとすると、タヌキは力をふりしぼって這いずって道路脇へと逃れ、力つきてぺたりと動かなくなった。這いずった後には血が線を引いた。タヌキはこの先は車にひかれることはなさそうな所にいるので、ワタシはその場をはなれた。
 帰り道、事故現場にタヌキはいなかった。きっと生き長らえることはないだろうと思いつつも、自然の中へ帰っていったことを確かめてほっとした。

 おしまい。
07.12.06 
宝物公開。
鹿の角

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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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