#176 逃げるな

#176　逃げるな

　なぜ、鳥が逃げるんだろう。近付いても鳥が逃げないばかりか、寄ってくる人もいるというのに。ワタシの姿に気がつくと、すべての野鳥は飛び立つ。もっと仲良くしたい。遠くから望遠鏡でのぞいてばかりでは、なんだか鳥のプライバシーを侵害しているようで申し訳ない。

　餌付けというのは、気が進まない。鳥と「えさの切れ目が縁の切れ目」という関係を結びたいとは思わない。

　でも、餌付けだって、誰にでもできるものではない。いくらえさをまいても何も寄って来ない人だっている。ワタシもそのひとりかもしれない。
　だから、餌付けだって立派な特技だと思う。
「特技」などというと、しかられるだろうか？

　鳥はいったい、ワタシの何がそんなにこわいのだろう。いい声がしたから、声の主の姿を近くで見たいと思っただけなのに。川面の上できらめいた翡翠の輝きを、今しばらくながめていたいと思っただけなのに。
　もしや、こわがっているのではなく、恥ずかしがっているのだろうか。そうだ、そうにちがいない。きっと鳥たちは、みんなシャイなのだ。

　ではワタシは、そんなにデリカシーがないように見えるのだろうか。

　悩みはつきません。

　おしまい。　

かなり散ったウチの楓。

2007/11/28 (Wed) 田舎暮らし TRACKBACK() COMMENT(0)