#164 田舎育ちたち

#164　田舎育ちたち

　ブログ化して１００話目です。おまけに、誕生日が重なった。

　近所のＫさんちのＳちゃんは、ワタシのよく知ったご婦人のピアノの生徒だ。ふた山向こうのＦさんちのＭちゃんも、ピアノの生徒だ。ピアノは、Ｍちゃんが一年せんぱいだ。生まれたのも、Ｍちゃんが半年早い。
　ふたりはずっと前からとても仲が良い。姉妹のようにも見える。顔もどことなく似ている。くりくり目がよっつだ。

　Ｓちゃんは、快活で、率直で、いつも大きな声で何かさけんでいる。
　Ｍちゃんは、思慮深いがやはり率直で、ときどき大きな声でさけぶ。
　ふたりとも、笑い出すと止まらなくなる。

　Ｓちゃんは、おとうさんとおかあさんといっしょに手で田植えをして、収穫のときには感激して泣いた。
　Ｍちゃんは、よくおかあさんの忘れ物をフォローしている。Ｍちゃんちもおとうさんとみんなでお米を作っている。

　Ｍちゃんのふたつ年下のいもうとのＳＺちゃんは、いつも笑っている。数日前、初めて言葉を聞いた。それは、「あっ、リョウヘイさんだっ」だった。
　去年ＳちゃんのおとうとになったＹちゃんは、生まれつき言語を必要としていない。

　ＳＺちゃんの近頃の得意技は、白目をむいて見せることだ。ワタシが驚いてのけぞると、いつまでもやっている。
　Ｙちゃんの近頃の得意技は、二本足歩行だ。そのあくなき好奇心が、この技を身につけさせたものと思われる。

　Ｓちゃんは、先生が言うことにはすなおに取組む。曲の好き嫌いはあまり言わないが、やや疲れやすい。
　Ｍちゃんは、ときどき言うことを聞かない。好き嫌いがはっきりしていて、何にでも自分流で取組む。

　Ｓちゃんのピアノへのアプローチは、ていねいだ。楽譜をじっくり読み取り、確実に弾こうとする。
　Ｍちゃんのピアノへのアプローチは、大胆だ。楽譜が苦手で、耳と身体で曲を憶えてしまう。

　Ｓちゃんの絵は、タッチによどみがない。
　Ｍちゃんの絵は、色使いが美しい。
　ＳＺちゃんが描く人の顔は、すべて笑っている。
　Ｙちゃんは、彼自身が絵になっている。

　みんなの血液型はしらない。
　誕生日は、先生から一度聞いたけれど、忘れてしまった。女性の誕生日を忘れてしまうようなヤツは、もう口をきいてもらえないかもしれないな。

　おしまい。　

麒麟草

2007/11/04 (Sun) 田舎暮らし TRACKBACK() COMMENT(0)