#371 食糧危機 ２

#371　食糧危機 ２

　結論から言うと、第一次食糧危機を脱した。店頭から突然消えたワタシの生きがい、スーパーＭの空揚げは、突然復活した。こんなにうれしいことが、こんなにありがたいことがあるだろうか。天がワタシの祈りを聞き入れてくださったにちがいない。父と子と精霊の御名によりて、アーメン。それにしても、人騒がせなスーパーだ。人騒がせはお前だって？ ごもっともでする。

　それまで当たり前に食べていたものが突然姿を消したとき、人は代わりのものを探す。きょうはＴ市へレッスンに出かけた帰りに、いつも横を通るスーパーＳの空揚げを買ってみた。さっそくひと口つまみ食いしたっていいじゃないか。
　なんだ、これは。衣が厚すぎる。これではまるでチキン味のサータアンダギーだ。失格。

　ワタシの行動範囲内で空揚げを売っているところは、すでにこれまでに軒並みチェックしている。Ｍ空揚げに勝るものはひとつとしてない。こうなれば、自分で作るしかない。
　Ｔ市からの帰りの１時間半の車中で、ワタシはレシピを考えつづけた。頭の中はすっかり空揚げに支配されている。

　で、習慣的に立ち寄ったスーパーＭ。もしかして先日よりはもう少しましな空揚げが売られてはいないか。と、あの絶品空揚げが、何ごともなかったかのようにショーウィンドウに置かれていた。それは、５ｍ先から接写どアップの画像で目に飛び込んできた。

　ところで、先の戦争を経験した人は、当時の食べ物不足の状況を「食糧難」と呼ぶ。けっして「食糧危機」とは言わない。ここに、昨今語られる食糧危機の恐ろしさが表れているように思える。そこには、食糧の不足の広域化・多様化・長期化が込められている。
　この国でもすでにその兆候が始まっている。食品の製造者と販売者の利益のためならば手段を選ばないかのようなモラルの低下もその表れのひとつだ。そこにはそもそも、良質で安価な国産原材料の不足という状況がある。
　危険物を平気で食品に使う中国の食品会社にクレームを付けてもほとんど無意味にちがいない。あの国はああいう国なのだと認識するしかない。その上で、あんな国に頼らずに安全な食べ物を調達する手段を講じるべきだ。輸入先を替えることは根本的解決にはならない。食糧危機を恐れる前に、国内自給率を高めることが先決なのは論を待たない。

　なんだ、空揚げのくだらない話がいつのまにか評論調になっている。バカをおおい隠そうとしているかのようだ。
　食糧危機がやってきたら、ワタシなどはまっさきに理性を失って人の道をはずれる口であることが証明されたきょうこの頃だったとさ。

　おしまい。　
09.01.07 記　

2009/01/09 (Fri) 時　事 TRACKBACK() COMMENT(0)