#811 大 衆

数日前のことになるが、電力会社が作成した「世論操作マニュアル」なる文書がスクープされた。
（「原子力ＰＡ方策の考え方」（９１年報告））
作成者は原子力文化振興財団。
作成されたのは１９９１年。
曰く、
「停電は困るが、原子力はいやだ、という虫のいいことをいっているのが大衆である」
「繰り返し繰り返し広報が必要である。新聞記事も、読者は三日すれば忘れる。繰り返し書くことによって、刷り込み効果が出る」
「原子力に好意的な文化人を常に抱えていて、何かの時にコメンテーターとしてマスコミに推薦出来るようにしておく」
など、やっぱりかと思わせる内容となっている。

これを全国民が見たら、どのような感想が集まるか。
電力不足や原発に関心が無い人でも、愚弄されたことに怒りを覚えるだろうか。
それとも、昨今の「放射能問題騙され上手」の人々を見るに、へえその通りでございます、わしらは偉いさんのお達しのままにさせていただきます的な人も多いのだらふか。

それはともかく、これ式で「愚民」の定義をするならば、いろいろできるのではないか。

「景気後退は困るが、増税はいやだ、という虫のいいことをいっているのが納税者である」

「植民地化は困るが、軍備はいやだ、という虫のいいことをいっているのが平和主義者である」

「サービス低下は困るが、値上げはいやだ、という虫のいいことをいっているのが消費者である」

「成人病は困るが、節制はいやだ、という虫のいいことをいっているのが患者である」

「病害虫は困るが、農薬はいやだ、という虫のいいことをいっているのが自然農信奉者である」

「田畑で収穫がないのは困るが、力仕事はいやだ、という虫のいいことをいっているのが巴だである」

ヤブヘビなり。

　おしまい。　
11.07.22 記