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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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7月10日。
灼熱の京都盆地の東端で青木繁展を観たその足で、西端の衣笠の地へ。
立命館国際平和ミュージアムを目指した。
先日原発事故についての講演会でお世話になった安斎育郎先生が名誉館長だ。
そこで開催中の写真展「世界187の顔」の最終日。
人々の顔は、世界をそのまま映し出していた。

多くの写真は、世界各地の民衆の、戦争、弾圧、搾取といった人災による悲しみを捉えていた。
悲しみの眼、眼、眼…。
人は人にけっしてこんなに悲しい眼をさせてはならない。

ルワンダ、アフガニスタン、イラク、ガザ、東ティモール、チベット、日本…。
悲しみと喜びにおいて、人種はない。

泣き、叫び、抱き合い、拳を突き上げる人々。
人災によって悲しみの淵に追いやられた人の眼の中にあって天災を受けた人の眼にないものは、憎しみだった。
それはけっして激しく燃え盛る炎ばかりではなく、むしろくすぶり続けるような、諦観のどんよりとした翳りであることが多かった。
不運、不条理、不道徳によって輝きを奪い去られた瞳。
その奪い去られた輝きとは、生命力そのものなのだと感じたとき、人々を害した者の罪の深さに慄然とした。

銃を携行してこちらを凝視するアフガニスタンの十二,三歳の子ども。
その表情は、多感な年頃の少年が持ち合わせているはずの多彩な感情を押し殺し、怒りと憎しみがいびつな姿で顕われた、それでいて一種決然とした、見ようによっては大人びた、たいそう複雑なものであった。
いったい誰が、この子にこのような顔をさせているのか。

一枚の、囚われの身のオランウータンの写真。
長い指が檻を力なく握っている。
斜め下方に凝固したままの、悲しい悲しい視線。

さて、悲しみの顔とともに、いくつかの喜びの顔が掲げられていた。
それらはいずれも、実に単純な幸せを噛みしめていた。
家族と共にあること、何者にも拘束されないこと、信仰に生きること、歌い踊ること、仲間と分かち合うこと、生あることを喜ぶこと…。
そう、そこには、ごくごく当たり前の営みだけがあった。
当たり前の、しかしかけがえのない営み。
それさえあれば十分なのだと、そしてその「十分」こそが幸せなのだと、人々の顔は語っていた。

悲しみの翳り、喜びの輝きを捉え切った187枚の写真。
現状批判で終わらず、悲しみと対比させることで幸せを鮮明に描き出し、そして素朴な幸せをパラダイムとして悲しみを生む構図を見直していこうとのスタンスが感じられ、実に共感できるものであった。

最後の一枚はチベットの大草原に生きる羊飼いの少年。
十歳くらいだらふか。
野生児とはこのような子どものことを言うのだと得心。
頭から羊の皮をかぶり、常に身構えているような、今にも飛びかかってきそうな動物的な面構えの中心には、澄んだ知性を堪えた二つの眼が光っていた。
そしてまた、自分の力、知恵で生き抜こうとする意思と、早くも誇りと奥行きが、両の眼には宿っていた。

子どもがどんな眼をするかは、当然周囲の大人次第だ。
大人に似るということではない。
大人の生き方が、子どもの眼に宿るのだ。

 おしまい。 
11.07.11 記 




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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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