#754 助け合い Japan その２

　今朝の京都府中部はうっすらと雪に包まれた。暖房のありがたみが身にしみる。事態がなかなか好転しない中ではあるが、自分が暮らすこの国の今後の展望を考えてしまう。東南海地震の発生確率は、今後三十年以内で70%、五十年以内で90%。東北関東大震災の復興が成らない内に起こる確率がたいへん高い。そうなったとき、国民の暮らしが破綻してしまわないためにはどうすればいいか。

　東北関東大震災に係る避難者数は、本日の時点で１７都県で計２４万６１８７人。そのうち福島県だけでも３万人近い人々が、やむなく県外の施設や縁故ある人の元に身を寄せている。県外に避難する人は今後も増え続ける見通しだ。
　で、東南海地震や南海地震が起きた際、居住地から離れる避難民は、はるかに膨大な数になることはまちがいない。が、受け入れ態勢はまったく整っていないのが現状だ。
　だいいち、大地震や大津波の直後に百万人単位の人間の迅速な移動は不可能だ。そして、その避難者数もまた想定を超えることを想定すると、実効性のある受け入れ態勢と移動手段をあらかじめ整えることさえむずかしい。
　が、避難者の住居の確保なくして復興はあり得ない。では、この膨大な避難民の問題を予防するにはどうするか。方法はひとつしかない。あらかじめ避難しておくことだ。つまり、太平洋側の都市部の住民の他の地方への大移動を、今から始めるしかない。ないと言ったらないっ。田舎へようこそ。

　なんだかＳＦじみてきたな。が、あながちそうでもないやもしれない。人と文化の都市部への集中からの脱却を、今こそ始めるべしってことなんだな、きっと。
　最近誰かが「日本人のライフスタイルを考え直すべき」と言ってたっけ。そう本気で考えるならば、このような方向になっていかざるを得ないのではないか。そしてその場合、防災、食糧問題、エコロジー問題、都市と地方の様々な格差の問題、地方行政の諸問題などなどを、統合的に考え直す必要に迫られる。

　ただし、国民が排他的であっては、このような方向転換はけっして成功しないと思う。避難民が避難所にいる間は「お客さん」だから、親身に手厚くもてなす。が、避難民が原住所を遠く離れた仮設住宅や公営住宅に住むようになったとき、避難民と原住民との間でいろんな衝突や孤立が起こることは、阪神大震災の際にも指摘されてきた。大和民族国内大移動計画における最大の障害は、「身内・よそ者意識」やもしれない。であれば、そのときこそ、助け合いの精神の正念場なのだらふ。

　戦後、経済成長なくば戦争犠牲者は浮かばれない的スローガンがあったと聞く。経済成長は成ったが、その途上に原発があったことは事実だ。この国が世界で唯一の被爆国であったにも関わらずだ。で、今、全国津々浦々、世界一の防災エコロジー国家を目指してやり直さねば、災害の犠牲者は浮かばれない。

　ん、肝心の津波対策はどうすればいいのだらふ。日本の海岸をすべて高さ２０ｍの防波堤で囲むしかないのか。それこそ現代の万里の長城だな。ＳＦ作家も想定してないシロモノだな。国民全員が強制労働に就いて、コツコツと作るベーか。

　3.11 救援情報サイト「助けあいジャパン」

　おしまい。　
11.03.26 記