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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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今年は例年より一ヶ月ほど開催時期が早まったオカリナフェスティバル in 神戸。
それでも申込は170数組に及び、そのうち抽選で選ばれた116組が全国から馳せ参じた。
素晴らしいゲストにも恵まれた充実の二日間を、いつものようにわが夢見るガチョウのグループの活躍の様子も含めてリポートしたい。

まずは夢見るガチョウのマイ生徒さんたちのグループの活躍やいかに? との噺を。

拍手[3回]



── ── ── ── ── ── ──

今年は申込六組のうち四組が当選し舞台を踏んだ。
そのうち一組は二年連続当選という幸運だった。
その代わり?神様はこのグループに、初日の二番目というご本人たちにとってもセンセイにとってもありがたい出番をお授けになった。

三部合奏を五名で吹く場合、いくつかの工夫が要る。
まず、この編成の場合に多い主旋律の重奏において、適切なピッチを得ること。
一曲目の「ジョニィへの伝言」で、この課題をClはクリアした。
大編成とは違ってごまかしが利かない小編成。
本番の緊張による息の乱れ、ピッチなどの不安定化をどう克服するかは、オカリナ人の共通の課題だろう。
加えてこの日、Clは冷房の影響に苦慮することとなってしまった。
「オカリナが冷えてしまって困ったんです」
これは演奏終了後のご報告。
わたしも館内に入場して最初に感じたのだが、冷房が寒いほど利いていた。
戸外の猛暑に備えるためだったと思うが、30分とホール内に居られないほどだった。
そしてそれはリハーサル室を始め舞台裏でも同じだったというご報告。
となると、オカリナは冷え、ピッチは下がり、不安定になる。
そんな状況でピッチも息もぴたりと合った演奏を、持ち前のチームワークの良さで完成させたClのみなさん。
この曲ではClのメンバーさんのアイデアによって、元のわたしの編曲にはなかったSCとAFのパートも加えられ、適切な音量バランスを得るという、この編成で工夫すべきもうひとつの課題もクリアされていた。
またそれにより、合奏サウンドはぐっと厚みを増していた。

二曲目「オリーブの首飾り」はAC管を中心にした5部合奏で始まり、後半はSC管が加わる。
レッスンでは、運指の難所の練習は各位に委ね、もっぱらフレーズの出だしと切れ際をていねいに行なう練習と抑揚を明瞭に表現する練習を重ねた。
で、その結果は、中低音の管の合奏特有のやわらかい音色とこの曲が求めるスピード感、迫力、緊張感が両立した、独自性の強い演奏に仕上がったと思う。
そこには、これまたClのみなさんのアイデアによるスタカートの添加も大きく貢献していた。
終了した際の館内のどよめきは、朝から大入りになっているのかと錯覚するほどだった。
また、SC管とAC管、AC管とAF管とによるオクターブのハモリの効果も十分引き出せた。
この効果は、その日のゲストのイタリアの合奏団の演奏で如実に示されることになる。
今後は、そうした編曲上の効果にさらに思いを馳せ、自分のものにしていくことができれば、よりクリエイティブでファットな演奏になっていくんじゃないかと思う。

なお、この日の PA(音響装置)の調整の傾向が、高音がずいぶん強調され反対に低音が引っ込み気味であることも、Clの演奏の際に明らかになった。
この情報は、冷房の件と併せて他のガチョウさんのグループへと適宜伝達され生かされることとなった。


ロビーで出場した生徒さんの帰りを待つ



── ── ── ── ── ── ──

午後3時頃といえばお茶の時間だが、お昼ご飯後の眠気も去って元気になり、創造的なことを行なうには適した時間帯の幕開けだ。
一日目のYと二日目のGとCaは、いずれも午後3時台の出番となってそれはよかった。

二年ぶりの出場のYは、アカペラを二曲用意して臨んだ。
「リトル・ドラマー・ボーイ」は元々はわたしが自分用に伴奏を付けた編曲をしたものだったが、このたび合奏用に改編した曲だ。
さらに、Yの「アカペラでやりとうござる」とのリクエストにより、出場一ヶ月前に急きょアカペラ化された。
そうなると、リズムをキープする役割を受け持つことになる低音楽器の負担が大きくなる。
BC管の担当者さんは特訓と相成った。
で、その甲斐あって、力強いリズムと柔らかいハーモニーの融合が、アカペラでも果せた。
シンプルな付点2分音符の重ね合わせだけでも美しいハーモニーが得られること、アカペラ演奏では中低音部のリズムの安定が土台となることを、今回は実感していただけたと思う。

この曲はいくつかの海外のアカペラコーラスグループが採用しているスタイルを取り入れて編曲したが、そのねらいはアカペラで演奏することでひときわ生かしてもらった。
終了後には他のグループさんから「それ、どこの楽譜ですか?」とのお問い合わせをいただく栄誉を担うこととなった。
むろん、演奏がよかったからこそ編曲も評価していただけるのであって、演奏がポヨヨンだったら編曲になんか誰も目を向けないのが常なのだ。

二曲目は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク第二楽章」より抜粋。
比較的吹きやすく編曲したが、ゆったりとしたテンポと穏やかな夢見るような軽快さの両立が求められるという点で、けっしてやさしい曲ではない。
また副パートには管の最低音部も多く、リラックスして主旋律を聴きながらそれらをこなすという課題も潜んでいる。
他にも演奏したグループがあったが、奏者が多いこともあってかややテンポを上げていた。
この曲をスタンダードなテンポで、しかもアカペラで指揮者もなしに演奏すると、どうしてもお互いがもたれかかってしまうようなリズムになりやすい。
テンポが遅い曲で、お互いがよく聴き合いつつ頼り合ったりゆずり合ったりしてしまわないようにすることは容易ではない。
そこを徹底して練習した成果は、本番で十分発揮された。
加えて、繰り返し四回登場する運指の難所をすべて自然にクリアできたことのみならず、メロディーの抑揚・フレージングをひとつひとつていねいに適切に表現できていたことが、聴く人を引きつける演奏につながったのだと思う。


となりの公園にはたくさんの出場者がウォーミングアップに集まってくる



── ── ── ── ── ── ──

二日目は演奏レベルが高い参加者が目白押しだった。
その中で奮戦したM山のGはこれが何度目の出場だったっけか?
三度や四度ではないのは確かだ。打ち上げ付で。
プログラムには二年ぶりとしか書いてないので今度聞いてみよう。

「チキチキ・バンバン」を選びながら、実際に挑戦するには勇気がいったGのみなさん。
が、わたしが成功を保証したからかどうか、その気になってもらえた。
5部合奏で、変化に富み、それはそれは楽しい曲だからオススメしたのだ。
前出のClのみなさんも以前神戸フェスで演奏した。
Gは年齢のハンデ(失礼!)を乗り越えていかに成功を手中にするか?!

練習開始。
とにかく、出だしの「チキバンバン、チキチキバンバン」がそろわない。
一人一人がこなせていないことが理由だが、ダブルタンギングまたは速いシングルタンギング、できそうにない。
あきらめかけて泣きついてきたGにわたしが出した処方箋は、実にいい加減なものだった。
「『チキチキ』はテキトーにごまかして、その前後の『バンバン』と休符だけに集中して合わせてください。伴奏をよ~く聴いて。」
が、この処方はみなさんに理解・容認していただいたお蔭で奏功して、なんとか速いテンポに遅れずそろってきた。
かえってその箇所の演奏は、あの原作の映画「チキチキ・バンバン」のタイトルの元となったクラシックカーが一所懸命に走る様を見事に表現しているように思えたのはわたしだけだらふか??
そしてサビの流れるようなメロディーでは、一転して一体感あふれる美しい音色が奏でられた。

この曲では、今回のPAの高音が強く低音が弱い傾向を考慮して、立ち位置を工夫してもらった。
SC管のおふたりには楽譜を読める限界の距離まで下がってマイクから離れてもらい、AFとBCのおふたりには逆にマイクにできるだけ近づいてもらった。
この作戦は成功し、音量バランスはたいへん良くなり、AC管によるメロディーをしっかりと支えることが出来た上、AF管とBC管の一体となったベースラインなど、それぞれの管の見せ場も効果的に聴かせることができた。

二曲目の「この街で」はSFとACのシンプルな二部合奏だ。
このグループのいちばんの持ち味であるゆったりとしたテンポ感が遺憾なく発揮され、ほのぼのとした曲想を十分に会場に届けることができたと思う。
Gのみなさんの思い入れが込められたこの曲は、住環境がまったく異なる神戸のみなさんのハートにも響いたにちがいない。

特筆すべきは、最近のレッスンで立ち方、演奏姿勢がピッチに及ぼす影響をみなさんに実感してもらえたことだ。
そして自発的に各自が姿勢を見直された。
甲斐あって、チキチキ…のAC管のメロディーを始め、高音部も低音部も、テンポに翻弄されることなく良いピッチで合奏された。


モトコーを通ってお昼を食べに



── ── ── ── ── ── ──

Gのふたつ後に演奏したCa(カルシウムではない)は、舞台袖のスタンバイ席でGの演奏を見ていたはずだ。
そのとき、夢見るガチョウの山の音楽会に出ているような錯覚を起こさなかっただらふか?

「燕になりたい」は、たぶんこのフェスティバルでは初演ではなかろーか?
地元メンバーが二人いて、女性と男性二名ずつという編成のこのCa。
この曲ではメロディーを女性が受け持ち、男性がそれを支えるというパート割になった。
女性の恋心の歌だからパートが逆だったらおかしいしな。
問題は、各パート二人ずつのメンバーが気持ちをひとつにできるかどうかだ。
その上でパート間の協調をどう図っていくか。

奏者の気持ちはピッチと音色に反映される。
といって、合奏に求められるものは「自制心」という消極的でネガティヴなものではない。
「協調性」というありがたそうなお題目でもない。
このような小編成では特に、お互いの音を尊重する気持ちが端緒になければならない。
その気持ちに立った上で、自分の音を最大限に表出する。
すると、美しいハーモニーが現われる。
これを即物的に表現すれば、相方の音が自分に聴こえ、心の動きがよくわかる範囲で最大限の大きさの音で吹く、となる。
このたびのCaの演奏では、合奏を合奏と感じさせないほどの一体感、また合奏ならではのドラマティックな音の絡み合いが、随処で表現されていた。

二曲目の「熱き心に」も、きっと初演だと思う。
選曲ですでに勝利していたCa、かどうか。

5分もあるこの曲を3分台にちぢめて、なおかつ原曲の持つスケールの大きさを表現できるかどうかがひとつの鍵だった。
で、本番。
テーマをのびのびと気持ち良さそうに吹く様には、この曲への思い入れ、スケール感がたっぷりと込められていた。
が、ある課題が心配だった。
中間部での転調の際に二名がオカリナの持ち替えをするが、その間たったの2小節。
時間にするとわずかに4秒。
この限られた時間内に二人とも持ち替えによる演奏の不安定化を克服できるかどうか?
「できない。助けて」
と最終練習の日にまず迫られたのは、その2小節はお手すきのメンバーさん。
持ち替えをする人のパートの次の出だしの小節を吹いてサポートすべく練習した。
前々日、わたしにメールでそのような対策でよいかどうか相談があったので「練習でうまくいったのならそれでよいです」と応じた。
で、当日。
リハーサルでは持ち替えがうまくいきそうだとなり、結局この助っ人案は没でお疲れさまでした。
せっかくの助っ人的練習は不意になったけれど、Caの本番ぎりぎりまで工夫を続ける姿勢はすばらしい。

で、本番での結果は万事上々。
件の素早い持ち替えの際にはオカリナを放り投げてしまうこともなかった。
この曲も客席にはかなりのインパクトを持って迎えられたように感じた。
が、欲を言えば、本番でよく聴き合うという課題をいっそう磨いていければと思う。

…にしても、プログラムには各グループの本拠地も記されるが、Caの「新大阪」という書き方は前代未聞ではなかろーか???


一日目はそれは暑い日だった



── ── ── ── ── ── ──
 つづく。
 

16.07.25 ~ 記 

開演前

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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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