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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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2月9日に開かれた第一回日本オカリナコンクールを聴いて、現在のこの国の腕自慢のオカリナ愛好家の演奏とはどのようなものであったかをまとめてみたいという気持ちになった。
その気持ちは、コンクールで感じたこと考えたことを通してオカリナ演奏にとって大切なものは何か、わたしたちオカリナ人はそれによって何を得るのかを改めて考えてみたいとの思いに変化していった。
今便と次便を通してそのすべてをお伝えするにはとても筆は及ばないけれど、マイ生徒さんたちにこの一文を捧げます。

拍手[4回]



関西を中心に全国から集まった出場者は三十組ほどだっただろうか。なぜか受付でプログラムをもらえなかったのです…(笑)
ワタシは午後の「独奏部門シニアの部」の途中から入場し、続く合奏部門の最後までを聴いたのみだが、予想通り、たいへん技術的レベルが高い人たちがたくさん参加していた。
 ワタシより上手な人が十人はいたぞ。
そしてその技術的レベルの高さには、やはり基礎力の裏付けが感じられた。
一方、ほぼすべての人に共通する問題点もいくつか見つかった。
いずれも技術論の範疇の事柄だが、今便はまずはこの辺りのことを軸に書き進め、次便でより考察を深めるべくその足がかりとしたい。


技術面の基礎力については、演奏姿勢、運指、タンギング、息の配分、ピッチ、リズム、フレージングなどチェックポイントは多いが、このたびの出場者のみなさんは、濃淡はあるものの、どの点についてもよく理解し身に付けておられるという印象だった。
合奏の骨格を作るピッチとリズムは、全体にたいへん高いレベルで仕上がっていた。
バス系のオカリナ3本で純正律に近い和音を響かせたグループには驚かされた。
そして、ブレス間の息の配分も身に付いている人が大半だった。
が、タンギングは全体に単調で、取って付けたようなスラーや装飾音も多く見られ、やはり難しい技術なのかなと感じた。


次に、ほぼすべての出場者に共通していた問題点について。
いくつかあったのだけれど、今便では「オカリナが十分鳴っていない」という点に焦点を絞って話を進めたい。
この問題が、アマチュアオカリナ愛好家の日頃の願いと練習の方向に特に深く関係していると思うからだ。

オカリナは、いくらいい楽器を持っていても、適切な吹き方をしなければ、十分に鳴らない。
響かないと言い換えてもいい。
で、十分に鳴らなければいい音色は出ない。
オカリナ演奏において最も基本的で重要なこの事柄が、ハイレベルな出場者の集まりにしてほとんど成し遂げられてなかったことは強調されてよいだろう。

合奏部門の一番目に演奏した若き女性のデュオは、唯一オカリナが十分に鳴っていた。
他のグループとの違いは、あまりにも歴然としていた。
生音による演奏だったので違いはいっそう鮮明になった。
ホールの響きの素晴らしさと相まって、美しさに迫力も備わった音色を生み出し続けていた。
そしてその演奏は、他の演奏技術も音楽性もほとんど非の打ち所がなく、一番目の演奏者でありながら、最初の1分ほどを聴いた時点でワタシは優勝を確信した。
もし後でこの人たちより上手な人が出てきたら、ワタシは間違いなく気を失ったことだろう。

オカリナが鳴っている人とそうでない人の最も大きな違いは何か。
それは実に単純なことだ。
オカリナを全身で吹いているかどうかの違いなのだ。


では、なぜこの「全身で吹く」ということがオカリナ人の間で困難になっているのか、または周知されていないのか?

ひとつには、本物の音色を直に聴く経験が少ないのかもしれない。
一流の奏者が全身全霊で吹く音色を生で聴き、心と身体にその音色をしみ込ませる経験は、必ずその人の演奏と練習を導く道標になる。
何人か聴けば、きっと自分の心に響く音色を持った人に出会えると思う。

また、住宅事情などの練習環境が影響している場合も多いだろう。
夜に茶の間で家族がテレビを見ている前でおかんが立ち上がって仁王立ちになり「オカリナはこうやって全身で吹くんじゃーっ」と吹き散らし始めたら、間違いなくその夜から座敷牢送りだろう。

そして何よりも、全身で吹くための実際的な練習が不足しているであろうことを想わざるを得ない。
不足している練習とは、管楽器全般の代表的な基礎練習のひとつ、ロングトーンの練習のことだ。
いろんな高さ、強さ、音色でひとつの音を長く吹き、音を一定に保ったり、音色や強弱を変化させる練習だ。
息のコントロールの練習なので、当然全身で吹く練習でもある。
この練習は長期間続けることで大きな成果が得られるが、非常に単調で肉体的にもきつい。
詳細は他にゆずるが、率直に言うと、年齢を重ねてから始めるのは無理が有るし、成果もそれほど望めない上、身体を痛める恐れもある。
若い人でも、相当の情熱が有り練習環境にも恵まれなければ、長続きはしないだろう。
しかし、この練習抜きに全身で吹けるようになること、引いては良い音色で吹けるようになることは、かなり難しいと思う。
ここに、アマチュアオカリナ愛好家のひとつの限界があるのかもしれない。
ちなみに、優勝した女性デュオは、この鍛錬を積んできた人たちに違いないと推察する。
おふたり共サックス奏者でもあるそうだし。

では、年配、もしくは若いとは言いづらい、もしくは若いつもりのオカリナ人は、美しい音色をあきらめるしかないのだろうか?
いや、少しでも良くなるための方策は、きっと何かあるはずだ!

・・・・・・・

 音色と抑揚こそが、人の心の深部に響く。
 心地よいリズムこそが、人の心と身体を解き放つ。
 音色を輝かせ、抑揚を操り、間合いを仕切ることこそが演奏の土台、つまり基礎だと言える。
 名人は、たった一音で人々を感動させてしまう。

・・・・・・・

さて…これまでの日頃のレッスンで感じていたことのひとつ。
「オカリナを手にすると、ほとんどの人が運指に偏った練習になってしまう」
この点にオカリナ人の葛藤が象徴されていると、ワタシは思っている。
つまりこの点に、「できる範囲で無理なく練習して楽しく吹きたいが、人並み以上の成果も欲しい」という、アマチュアの性というか、特権というか、矛盾が現われているのだ。
早い話がわがままだ。

わがままでいいじゃないか、趣味なんだから。
とことんわがままな夢を見て実現を目指そうではないか。
 ただし謙虚にね。自分の限界を認めつつ。TPOをわきまえて。

 話それ気味。

オカリナのすべての穴を開けてファの音を吹いたら、ファの穴からするすると煙が流れ出て来て、漂う煙の中に魔人が現われてこう言う。
 「ご主人様、ようやく正確なピッチのファが出ましてございます。どうぞなんなりとお言い付けくださいまし」
「では、わたしにドレスを着せて、スポットライトが当たり拍手をいっぱいもらえる舞台へと連れて行っておくれ」
 「お安いご用でございます。ご主人様はどうぞ派手で目立つ曲の運指の練習だけをなさってくださいまし」
…こうしてかわいそうなオカリナ人は舞台の魔力に取り憑かれ、ついには魔人に魂を吸い取られてしまうのであった。

 それた話がもどらないのでそろそろ終わることに。

「で、全身で吹きいい音色を得るには具体的にどうすればいいの?」
これについては、次便で。
取りあえず、趣味で楽しく吹くことを望んでいる大人に、基礎練に限らず何かを強いたり一方的に評価するのは間違いだというスタンスをこの場で共有されたし。
また次便では、わたしたちはこのようなオカリナへのアプローチによって何を得ることができるのかをまとめてみたいと思う。
 3につづく。 
14.02.12 記 

コンクール会場の前で見つけた素敵な水汲み場

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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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