#896 環

練習発表室。
これ以上発表会に適した名前の会場がかつてあっただらふか？　いや、ないっ。
練習発表室は法律相談をする部屋ではない。
力士が髷を結う部屋ではない。
ラジコンカーを走らせる部屋ではない。
ただただ、日頃の練習の成果を発表するために作られた部屋であるはずなのだ。
が、そこで盆踊りをしたトンデモ集団のお噺を。

「山の音楽会」のことは、ここで何度も書いた。
やれ、ついつい街で開いてしまった。
やれ、とうとう海で開いてしまった。
やれ、うっかり島で開いてしまった。
などなど。
このたび 2014年 5月18日はと言えば、いよいよ大都会で開いてしまった。
新大阪のビル街のど真ん中だ。
では、今度もいつぞやの「海」のときのごとくに「山の音楽会」とのタイトルは差し替えられるのかと思いきや、「山音」で突っ張ったセンセイ。
大都会だからこそ、「山」を持ち込もうという。
山師だ。

　やま‐し【山師】
　１　鉱脈の発見•鑑定や鉱石の採掘事業を行う人。
　２　山林の買付けや伐採を請け負う人。
　３　投機的な事業で大もうけをねらう人。投機師。
　４　詐欺師。いかさま師。

会場となった大阪市立青少年センター KOKO PLAZA の威容は、田園風景に慣れ親しんだワタシの目には刺激が強過ぎた。
初めて訪れたときのワタシは、このビルジングのキノコ状に広がった最上階７階を見上げるや見入ってしまい、気が付けば背面に卒倒して白目をむいてしまっていたものだった。

威容のビルジング KOKO PLAZA と満月

４７名の山音参加メンバーの７５％がケータリングで注文したヘルシー弁当はどんなお味だったのだらふ？
中華弁当を注文したワタシは、二次会のバイキングの料理の中に中華弁当のおかずと同じメニューをいくつも発見したときには、思わずのけぞってイスから滑落してしまったものだった。

KOKO PLAZA 中庭から発表会場がある二階を望む

この会場は伊丹空港を離発着する飛行機の航路の真下に位置しているのだが、飛行機が轟音と共に頭上を飛び抜けるのを初めて見たワタシは、思わず中庭のガーデンテーブルの下に身を隠したものだった。

さて、このセンターの二階に設えられた「練習発表室」は、エクスプレス・ココとも呼ばれている。
徒歩５分の所に位置する新大阪駅には新幹線も特急も急行も快速も普通も空港バスもタクシーも駕篭も馬も停まる。
だからエクスプレスなんだらふか？
とにかく、ここが「山の音楽会 vol. 18」の会場となった次第だ。
練習発表室。
これ以上発表会に適した名前の会場がかつてあっただらふか？　いや、ないっ。

午前中のリハーサル風景 at 練習発表室

今回幹事をしてくれたグループはかぷちーのという。
おかりーなはぺぺろんちーのやまるがりーたと同じくいたりあーななので、かぷちーのと名付けられた。
かぷちーのには、珈琲のように泡立つこともなく、極めて適確にお役目を果たしていただき、お蔭さまで隅々まで行き届いた素晴らしい会になった。
参加グループのみなさんは、演奏に集中することができ、一日を快適に過ごすことができた。
おまけに二次会まで仕切ってくれたかぷちーの。

で、その二次会。
発表会が行なわれた練習発表室その場で行なわれた。
まだまだ遊び足りないガチョウさんたちが、それぞれの芸を披露し、感嘆の声とあきれた目線と爆笑に終始した。
エントリー済演奏、飛び入り演奏、ギター弾き語り、ふるさとの歌、いきなり合唱、マジック、デマカセ演奏、落語、ひとりごと、実演販売、フラダンス、リンボーダンス、ファイアーダンスと続き、最後はとうとうみんなで盆踊りとなった。
誰もが知ってるみんなの炭坑節だ。
CDを用意していたのはかぷちーの。

盆踊りだから、みんなが輪になる。
輪になって、笑い合い、大いに楽しんでいる。
みんなが輪になり和になり、「環」になっていた。
めでたし、めでたし。

　かん・わ【環】クワン
　１　円くめぐって終わりのない形。輪。

　おしまい。　
14.05.23 記