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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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あさっての夜はいよいよ丹波琴滝で耐寒オカリナライブだ。
毎年出演させてもらっているのでマイ年中行事のひとつになってしまった。
その準備に追われつつ、合間を縫って先日の山の音楽会の総括的ブログも書いているところ。
どちらも楽しい作業だから、一日があっという間に過ぎてしまう。
あれもこれも楽しいことだらけだから、一年があっという間に過ぎてしまう。
一生もあっという間に過ぎてしまうのだらふな。

で、前便のつづき。
山の音楽会は田舎と街の統合的イベントであるや否や、という問いが浮上してきたように思う。

ところで、食糧の流れという視点で見れば、田舎は生産地であり、街は消費地だ。
食糧を作っている地域と消費に偏っている地域とでは、人の気質や思想や人間関係のあり方も違っていて不思議ではない。
生産地の人々は万事季節との関連で考え行動する傾向が強い。
また、なにごとも長い時間のサイクルで捉える。
そして歴史的に農林漁業いずれも直接的な共同作業で行なってきたため、人間関係では集団としての秩序を重んじる傾向がことに強い。
こうしたそれぞれの傾向は、街ではほぼ正反対となっている。
季節よりも納期と流行、回転の速い商品開発、集団よりも個人の嗜好重視、といったように。
田舎の人々の目がいつも街の方を向いていることを差し引いても、それぞれの傾向の違いははっきりある。

それでいて、いずれの地域のグループも、合奏における予定調和(この世は何事も神によっていずれうまくいくように作られているという考え方)を信じている点が興味深い。
さてどういうことか?

和を重んじる田舎のグループ。
が、和を重んじる態度は、もっぱらグループの運営や曲の段取りという局面に際して発揮される。
そこでは、慣習に基づく様々な序列や談合の手順にしたがって物事が円満に決せられていく。
しかし、いざ合奏となると、和の精神はどこへやら、名曲の数々が、重層的で多彩なピッチと我が道を行くがごとき幅広い間合いによる独創的な表現で描かれてしまわれる。
それはあたかも、取り決めに従って吹きさえすれば合奏もうまくいく、すなわちオカリナ合奏における予定調和を信じ切っているかのような演奏である。
決めた通りにすれば後は好きなように吹いても神様がお導き下さるわ~、てなものだ。

一方個人の嗜好を重視する街のグループも、やはりグループの運営や曲の段取りという局面に際してお互いの嗜好を尊重する。
こちらは話し合いにおいてはメンバーは対等であり、私はこうしたい、あなたはこうしたい、ではできるだけそれぞれの第一希望を生かす方法を採用しましょう、そのためにお互いが妥協し歩み寄りましょう、となり、一種の取引が行なわれる。
が、いざ合奏となると、お互いを尊重する精神はどこへやら、みなさん自分の世界に没頭してしまうこと多し。
楽譜はドラマの台本、主役は私、他のメンバーは脇役、伴奏は気分を盛り上げるBGM、ってなもんだ。
これもまた、取引さえ穏便に済ませれば好きなように吹いても合奏はうまくいく、すなわち予定調和説に基づく信仰告白であるかのようだ。

まあ、いずれも実際にはあり得ない極端なケースを一例として取り上げているつもりなんだけど・・・
で、息を合わせ、ピッチに気を配り、合奏全体の音色を楽しみ、伝えようとするグループがどちらの地域に多いかと言えば、いずれの地域にも予定調和説が浸透している実情を鑑みれば、それは地域性とは無関係であるはずだし、事実そうなのだ。

こうした予定調和信仰は、「音楽とは楽譜通りに演奏すればそれで完成するものだ」という楽譜信仰を起源としているのやもしれない。
こういう信仰にハマっている人は、現に今鳴っている音ではなく、自分の行為に没頭してしまっている。
楽譜通りに間違えずに吹くことを至上命題として、実際の音には気を配らないし配れない。
ただただ吹くという行為を神に捧げることに没頭し満足し恍惚となり宗教的法悦状態に至りついには客席から「素朴な音色に癒されました」等のありがたいお言葉をいただき歓涙を流すこととなる。

合奏は、予定調和ではない。
それは曲という設計図に則って、異なる音を絶妙なる配合にて調合し、美という神の世の調和の具現として結晶させるという地上の奇跡を人の手で実現する場だと言ってよい。
そしてそれはひとえに、演奏者同士の相互理解によって実現できる。
演奏者が互いを尊重し、配慮し合い、音や間を共有し、人と人との和を大切にして初めて成り立つ、きわめて人間的な所業が合奏なのだ。
 この点について認識不足があるとすれば、これはもう、センセイの不徳のいたすところと言うほかない。懺悔の季節。


そろそろまとめねば。

さて、これまでの多くの山の音楽会では、プログラムの最後に参加者全員で大合奏をした。
ワタシはそれを「グランドハーモニー」と名付けた。
直訳すれば「大調和」という意味になる。
年齢、性別、職業、立場、居住地、出身地、趣味嗜好などを越えて、多くのオカリナ人が合奏をする。
みんなの音がひとつに調和して美しく壮大なハーモニーを生み出すことを願って。
が、演奏者が多くなればなるほど、心をひとつにすることは難しくなる。
一緒に練習する機会もなかなか作れない。
だからグランドハーモニーは、少人数のグループ別演奏に比べると合奏としての完成度が低いのは仕方がない。
が、合奏が持っている可能性と理想型を確認し体験するために、これまでグランドハーモニーを大切なプログラムだと位置づけてきた。
このワタシの意図は、少しずつではあるが生徒さんたちに浸透してきた…だろうか???

まあ、「最後にみんなでぱーーーっとやりませう!」ってことで構わないんだけど。
それに、たくさんの演奏を聴いたら自分もオカリナを吹きたくてうずうずしてくるし、その純粋な気持ちを表現する場としてもグランドハーモニーは大切だなと思っている。

だから、グランドハーモニーは、ただの大人数による音合わせではないし実験でもない。
演奏者が相互理解し合い、互いを尊重し、互いの音を自分の音のように聴き、応じ合う。
すると、グランドハーモニー(大調和)が生まれる。
それを願っての試みであり祈りなのだ。

街中で生まれ育ち、中年期の入口から田舎を生涯の住処と定めてはや二十年が過ぎたワタシ。
天の導きで、田舎と街の両方を知る者として、いつの間にか音楽を通して両者を結びつけるポジションに付かされているのやもしれないと思うときがある。
オカリナの指導と発表会を続けグランドハーモニーの完成度を高めていけば、それは実現に近づくのだろうか?
いやいや、そんな風に考えてしまえば、産直運動を活発化し、日曜日に都会人向けの朝市を開き、様々な観光イベントを打ち、都会人に土地や空家を斡旋し、街の子どもたちを山村留学に迎えさえすれば、街の人が田舎に目を向けてくれるし田舎の人はもっと地元の良さに気づいてくれると考える山村都市交流の予定調和説の落とし穴にはまってしまうことになるにちがいない。
また、田舎は自然がいっぱいで美しい、空気も水もきれいでおいしい、田舎の人は素朴でやさしい、田舎は助け合いの精神が生きている、お金に縛られていない、時間がゆっくり流れている、古き良き日本が残っている、等々の田舎伝説を信じて田舎への移住を志し、移住した暁には夢も希望も貯め込んだ小金までも鹿や猪に食い荒らされ、ほうほうの体で自分がもと居た所へ逃げ帰ってしまった数々の田舎暮らしの予定調和信仰者たる都会人の仲間入りだ。

人と人を結びつけるものは、物やイベントや情報ではない。
心を開き、様々なしがらみを離れ、互いを尊重し、積極的に相互理解し合うこと以外に道はないことを忘れないようにしたい。
だがしかし、山の音楽会とグランドハーモニーは、少なくとも人の世の縮図であり、相互理解によって高揚し安らいだ掛け替えのないひとときを描き出す、ひとつの素晴らしいモデルとしてこれからもあり得るのだ。
 おしまい。 
13.12.19〜22 記 

次回2014年5月18日の山の音楽会の会場。
新大阪 KOKO PLAZA。
今まででいちばん都会に進出。



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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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