#619 バーチャル発表会

#619　バーチャル発表会

　マイ生徒さんたちの合同発表会の際、ワタシの重要な任務のひとつとして、伴奏のＣＤの作成がある。みなさんが日頃練習している曲の伴奏の大半は、ワタシが編曲してＣＤにしたものだ。発表会のときはそれらを一枚のＣＤにまとめて使う。あさって２３日の発表会に向けて、きのうからその作業にかかっている。これ、なかなか手間がかかることをたれぞ知る。

　このたびの発表会「山の音楽会 2010 City 編 〜亀岡の場合〜」には１６のグループが参加し、計４１曲を演奏する。で、そのうちの３３曲が伴奏付きの曲だ。それらの曲はすべてＰＣ（ぱそこん）に保存されているので、空のＣＤ−ＲをＰＣに入れてキーを押すだけでコピーができてしまう。が、発表会用のＣＤ作成はそうはいかんのだ。

　さて、ＰＣに収録されている元になる伴奏は、すべてが同じ音量で作られているわけではない。ほとんどの曲は、編成に合わせて音量が設定されている。大編成用の曲の伴奏はデュオ用の曲の伴奏よりも大きな音で作られている。ところが、大編成用の曲を小編成のグループが取り上げるバアイもあれば、その逆もある。そのような曲を発表会で使うバアイは、音量を修正せネバネバならない。
　で、一曲ずつグループの編成に合わせて音量を微調整しながら発表会用ＣＤを作ることとなる。もちろん、現場でももう一度微調整する。

　伴奏の音量はそのグループの人数に対応させるだけではない。オカリナの音量は、使っているオカリナのメーカーによってちがうし、吹く人によってもちがう。それらを思い出しつつ、楽器編成も雰囲気も異なる多くの曲の音量を設定していくってことになる。ＰＣ内に曲を収納している iTunes は音量設定を変えてコピーを作ることはできない。ＣＤレコーダーで一曲ずつ再生しながら設定するしかない。

　だから、当日までにワタシは、頭の中ですでにバーチャル発表会を体験することとなる。３３曲分作るにはその何倍かの時間が必要になる。本番前にすでにお腹いっぱいになってしまいそうだ。
　空のＣＤ−ＲをＰＣに入れてキーを押すだけでアバウトに作っちゃえばいいのだが、それではすべての８分休符にまで気を配って練習してこられた生徒さんたちに申し訳ない。快適に演奏してもらい聴いてもらうためには、こんなところでも手を抜けなくてそれはよかった。

　そうだ、次回から練習曲はすべてアカペラ曲にしてもらおう。
　・・・編曲するのがむずかしいな。それに、かなりの曲で指揮をさせられるだらふな。それもしんどいな。
　楽をすることばかり考えている。

　本番前にすでにお腹いっぱいになると書いたが、もちろん本番は日頃の練習と比べてもまったく印象が変わる。場のちがい、吹く人の気持ちのちがいは、演奏に大きく反映される。舞台袖でつぶさに聴いていると、こっちまで心臓が止まりそうになるが、一曲ずつ心臓が止まりそうになっていては発表会が終わる頃には本当に心臓が止まっているにちがいないので、頭の中で一人一人をちゃかしながら、そして次のグループのことを思い描きながら軽やかに聴くことにしている。
「なんだ、舞台袖のセンセイはＭＣのネタ作りをしているだけなのか」
　バレたか。

　おしまい。　
10.05.21 記　

2010/05/22 (Sat) オカリナ TRACKBACK() COMMENT(0)