揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#253 カンチャナブリーの竹の笛
続・カンチャナブリー紀行。バンコクからカンチャナブリーへの列車は、山中でなんと木造の橋の上を通過した。断崖絶壁に張り付くように架けられたこの橋は、そもそもは旧日本軍が作ったという。数十トンのディーゼル列車を支える木の橋は、最徐行する列車をきしみながらもなんとか受け止めていた。徐行するものだから、よけいに仏様に無事を祈らずにおれなかった。
カンチャナブリーのクワイ川橋の付近は、観光客と土産物屋や物売りの人々でにぎわっている。どこからか、とても美しい笛の音が流れてきた。
続・カンチャナブリー紀行。バンコクからカンチャナブリーへの列車は、山中でなんと木造の橋の上を通過した。断崖絶壁に張り付くように架けられたこの橋は、そもそもは旧日本軍が作ったという。数十トンのディーゼル列車を支える木の橋は、最徐行する列車をきしみながらもなんとか受け止めていた。徐行するものだから、よけいに仏様に無事を祈らずにおれなかった。
カンチャナブリーのクワイ川橋の付近は、観光客と土産物屋や物売りの人々でにぎわっている。どこからか、とても美しい笛の音が流れてきた。
ワタシは吸い寄せられるように笛の音をたどった。すると、にぎわう通りのはずれの木陰に、ひとりの笛売りのおじさんがいた。屋台に日本の風鈴売りのように数えきれないほどの笛をぶらさげて売っている。おじさんは、といっても今のワタシより若いと思うが、小柄で、黒く、無口で愛想はないが、大きくて実直な目でまっすぐにワタシの目を見る。白いえり付きシャツに半ズボンだ。笛の大半は同じサイズの短い縦笛で、意外に肉厚の竹でできており、地味だがあやしげなくねくね柄のペイントがほどこされている。
「ぜんぶ、あんたが作ったんか」
「そや」
「吹かせてくれへんか」
「ああ、ええよ」
「どれがええ音がするか」
「これと、これと、これがおすすめや」
4、5本の縦笛を吹き比べてみたが、どれも捨てがたい音色だった。
「みな買うてえな」
「一本でええわ」
「そう言わんと」
「まだ先が長いし、荷物になってしまうわ」
「これからどこへ行くんや」
「インドや」
「へー、インドか」
「そや、インドや」
「気ぃつけて行きや」
「おおきに」
どれも買いたい誘惑と戦って、一本を選んだ。
「これも、どや」
ながーい横笛を持ち出してきた。こいつにはリードがついてないので、簡単には音を出せなかった。ワタシは憶えたてのとっておきのタイ語を、とっさにくり出した。
「ヤーク!」
「ははははは、ヤークじゃないって」
「ヤーク、ヤーク!」
「わはははは、ヤークじゃないって!」
それまでほとんど身振り・手振りだった会話の中に突然飛び出したタイ語の「ヤーク」がバカ受け。ワタシは「ヤーク」と「アローイ」はなぜかしっかり憶えていた。「ヤーク」は「むずかしい」、「アローイ」は「おいしい」。
ちなみに、「ニー、アライ?」は「これはなに?」で、「ホーンナム、ユーティーナイ?」は「トイレはどこですか?」。このふたつだけ憶えていれば、英語が通じない地域でもタイの旅はできる。。。と思う。
カンチャナブリーで買った竹笛は、その後の三ヶ月の旅で手放せない友となり、そして次々にインドやバリの竹笛を呼び寄せて、ワタシはすっかり笛にはまり、帰国する頃には何本もの竹笛がリュックから顔を出していた。が、カンチャナブリーの笛が終始いちばんのお気に入りだった。帰ってからこの笛で「カンチャナブリー」という曲を作って、何度かライブで演奏したっけ。
その後この笛は、今でも音はなんとか鳴るものの、現地と当地の湿度の違いでひび割れ、すっかり反りくりかえってしまった。大事にしまっているが、いつか代わりを買いに行くのもいいな。
前便をアップした11日の夜、地域のある会合に出席したところ、前便で書いていた「ビルマの竪琴」の上映会をやろまいかという話題になった。ワタシは何も提案していないし、前便の内容とはなんの関係もない場だったので、不思議だった。
「ぜんぶ、あんたが作ったんか」
「そや」
「吹かせてくれへんか」
「ああ、ええよ」
「どれがええ音がするか」
「これと、これと、これがおすすめや」
4、5本の縦笛を吹き比べてみたが、どれも捨てがたい音色だった。
「みな買うてえな」
「一本でええわ」
「そう言わんと」
「まだ先が長いし、荷物になってしまうわ」
「これからどこへ行くんや」
「インドや」
「へー、インドか」
「そや、インドや」
「気ぃつけて行きや」
「おおきに」
どれも買いたい誘惑と戦って、一本を選んだ。
「これも、どや」
ながーい横笛を持ち出してきた。こいつにはリードがついてないので、簡単には音を出せなかった。ワタシは憶えたてのとっておきのタイ語を、とっさにくり出した。
「ヤーク!」
「ははははは、ヤークじゃないって」
「ヤーク、ヤーク!」
「わはははは、ヤークじゃないって!」
それまでほとんど身振り・手振りだった会話の中に突然飛び出したタイ語の「ヤーク」がバカ受け。ワタシは「ヤーク」と「アローイ」はなぜかしっかり憶えていた。「ヤーク」は「むずかしい」、「アローイ」は「おいしい」。
ちなみに、「ニー、アライ?」は「これはなに?」で、「ホーンナム、ユーティーナイ?」は「トイレはどこですか?」。このふたつだけ憶えていれば、英語が通じない地域でもタイの旅はできる。。。と思う。
カンチャナブリーで買った竹笛は、その後の三ヶ月の旅で手放せない友となり、そして次々にインドやバリの竹笛を呼び寄せて、ワタシはすっかり笛にはまり、帰国する頃には何本もの竹笛がリュックから顔を出していた。が、カンチャナブリーの笛が終始いちばんのお気に入りだった。帰ってからこの笛で「カンチャナブリー」という曲を作って、何度かライブで演奏したっけ。
その後この笛は、今でも音はなんとか鳴るものの、現地と当地の湿度の違いでひび割れ、すっかり反りくりかえってしまった。大事にしまっているが、いつか代わりを買いに行くのもいいな。
前便をアップした11日の夜、地域のある会合に出席したところ、前便で書いていた「ビルマの竪琴」の上映会をやろまいかという話題になった。ワタシは何も提案していないし、前便の内容とはなんの関係もない場だったので、不思議だった。
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管理人について
HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
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