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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#483 労働と創造

 他所の田んぼが気になるだ。近所だけではないぞ。車で走っていても、どこかで田んぼの横を通ると覗き込んでしまうだよ。大方の田んぼは、すでに穂が垂れ始めている。秋の風景になりつつある。T市へレッスンに行くとき、途中の山里で同市の小学校の体験農場の横を通る。毎年手作りの案山子が目を楽しませてくれる。ん、おらちの稲よりもよっぽど出来がいいじゃないか。

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 で、改めて思うのだが、日本の田んぼって、実に没個性だ。

 日本には棚田という美しい田んぼ文化がある。棚田の形状は実にアーティスティックだ。が、その作業の大変さから、真っ先に放棄され、どんどん姿を消している。で、棚田以外の田んぼって、ほとんどどこを見ても同じに見える。
 まず、形に変化がない。田んぼとは長方形か正方形だと相場が決まっているかのようだ。
 次に、稲の植え方に個性がない。どこも、等間隔にびっしりと植わっている。
 そして、稲の姿そのものにもあまり違いがない。

 ということで、田んぼの個性の無さは、田んぼが現代日本の生活パターンに即した作業効率と収穫高を大前提にしているがゆえにそうなったのだと言える。これはすなわち、田んぼというものが、食糧を作る場以外の何物でもないことを表わしている。で、それは素人目で見ると、実につまらない。

 田んぼの形、稲の植え方が似たようなものになるのは仕方がないとして、そこに何らかの変化を与える方法はないものか。
 あるとも。田んぼが自然状態に近ければ近いほど、変化が生まれ、個性が芽生えるはずだ。よしんば同じような雑草が生え、同じような生き物が生息していたとしても、自然というものはそれ自体がとても変化に富んでいる。ふたつとして同じ姿の「場」はない。
 ところが、作業効率を高めるためには、自然をできるだけ排除することが必要であるかのような現代農法。出羽、田んぼに変化を与え、つまり目を楽しませ、つまり作業を楽しくし、つまりそのような田んぼを作ること自体をより創造的で刺激的な作業にすることは「反現代」なのだらふか。

 宮澤賢治は言った。

「衝動のやうにさへ行はれる すべての農業労働を  冷く透明な解析によって その藍いろの影といっしょに  舞踊の範囲に高めよ」(春と修羅「生徒諸君に寄せる」より)

 作業効率だけを追求すれば、ひとつひとつの作業は「労働」から一歩も出られない。
 そこに美意識と遊び心が加われば、作業は「創造」となる。

 ここでは賢治は、農作業に「冷く透明な解析」すなわち科学的思考を用いることで、美へと至る道筋を付けようとしている。それは、ワタシは思うに、遊び心と矛盾しない。奔放な自然に親しみ作業と成果に生かすこと、それは、実はもっとも科学的手法であるようにも思うからだ。なぜなら、自然を生かすために終始最も大切なアクションは、科学と同じく観察だからだ。

 と言って、おらちの田んぼが美しくて芸術的だなどとはとても言えない。ただの無手勝流の行き当たりばったりで、その結果たいへん個性的な外見となり、自分だけにウケていてそれはよかった。良くないか。
 お米作りのここまでの過程で、果たして観察は十分になされてきたか、たいへん心もとないとさ。

 おしまい。 
09.08.21 記 
T市の山里で小学生たちが作っている田んぼ。
小学校的田んぼ
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巴だ リョウヘイ
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揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
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所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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