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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#347 体 力

 こう寒いと、朝から外へ出て何かしようという気にならない。こんな日に土木建設野良作業をやっているのはプロだけだろう、と思っていたら、向かいのおじさんというかおじいさんは、朝早くから外で仕事をしておられる。八十過ぎてあのタフさはどこから湧いて来るのか。

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 おじさんはシイタケの栽培をしておられる。農業全般に詳しく、確かに農業のプロの道を歩んできた人だ。が、今はもう八十過ぎの半ご隠居さんだぜ。こんな寒空の下、小柄なおじさんのやや腰が曲がった姿勢でのきわめてゆったりとした作業を見ていると、正直はらはらする。が、その一方でなんだかこっちが励まされてしまう。
 といって、ワタシも外へ出て作業をしようという気にはなれず、これを書いているのだが。

 冬のシイタケ栽培ハウスは、暖房を入れる。灯油と薪を燃料にする。向かいのおじさんの朝の作業は、薪の用意だ。どこから仕入れてこられるのか、大量の木をチェーンソーで小さく切り分けて、山積みにして、少しずつ運んで火にくべる。かなりの重労働だ。それを、たったひとりで、急がず、あわてず、ひとつひとつの作業をていねいすぎるほどていねいに、淡々と進めていかれる。熟練した無駄のない力の使い方と基礎体力のちがいを思い知らされる。

 歳をとって、現役を引退したら田舎暮らしをしたいと考えている人は多い。畑で野菜を作り、できれば田んぼでお米を作り、自分で割った薪で薪ストーブを焚き、木工など楽しみながら花壇や植木の手入れをして日がなのんびりゆったりと暮らす・・・というわけだ。が、ワタシはそれはほとんど無理だと言いたい。なぜなら、田舎暮らしに絶対に必要なものの第一は、体力だからだ。

 いくら体力に自信がある人でも、歳をとってからでも畑仕事くらいできると考えるのは甘い。人間、慣れない作業を、ことに野良仕事や大工仕事など身体を使う作業をするときには想像以上に身体に負担がかかる。六十過ぎていきなりやったことのない薪割りや草刈りや畑仕事など、ほぼ不可能だ。一年くらいだったらできるやもしれないが、年々歳をとっていくのにずっとそれらをつづけることができるとは思えない。

 まあ、使い切れないほどお金があれば、しんどい作業をすべて人を雇ってやってもらうことはできる。が、思いのほか長生きしてしまってお金が底を突いたら、雪に閉ざされたくずれ家の中で冷たくなっていた姿が雪解けのころに発見されることはまちがいない。

 薪ストーブは三回身体を温めてくれると書いた人がいる。薪を焚いているとき、薪を運ぶとき、そして薪を割るときだと言うのだ。が、何ごとも体力あってのことだということを、賢明な読者は読み取らなければならない。
 えらそうに言っているが、ワタシとてそれほど体力がある方でもないので、老後のあり方を常に考えている。お金を使い切れないほど貯めることは、体力もお金もない年寄りが田舎暮らしをつづけるよりも不可能そうなので、いかに手をかけずに食べ物を作るかの研究?に賭けている。そして、貯金よりも穀物の備蓄と保存食作りだ。

 なんだか、ほとんどサバイバルの様相を呈しているな。でも、この国だって、自然環境と世界経済の激変によっていよいよサバイバル状態に入りかけている。食料自給体制強化へと方針を転換するしかないと思うが、今からでは遅すぎるくらいだ。この国の真の体力はいかほどか。

 おしまい。 
08.11.21 記 
霜の朝
霜の朝
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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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