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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#111 BLODDY NIGHT

 今便は、お客さんの前で血まみれになってしまった話。

 あれはいつのことだったか、京都の某老舗ホテルのイベントで演奏したときのこと。ホテルだけあって、控室は客室であった。

 開演が間近に迫った控室で、ヒゲをそってくるのを忘れたことに気づいた。四、五日はそってない。ここは高級ホテル。この顔でお客さまの前に出るのは少々申し訳ない。
 洗面所に行くと、ちゃんと洗面セットが用意されている。開演まであとわずか。ビリッとカミソリの袋を破いた。

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 無事ヒゲをそり終えて大鏡の前で身なりを整えているとき、鼻の下の毛穴からぷつぷつと真っ赤な血がにじみ出てきた。それはすぐにひとつに集まり、流れ落ち始めた。
 いくらつばをつけても血は止まらない。時刻は迫る。仕方なく、歯磨きセットの袋をビリビリと破いて、ちっちゃなチューブからまっしろな歯磨き粉をつまみ出し、鼻の下全体にすり込んだ。
 なんとか出血は止まったかに見えた。もう時間だ。鼻の下がやや白まっているがしょうがない。みんな初対面だ。この人はもともとこんな顔なのだと思ってくれるだろう。それとも、いっそ顔全体に歯磨き粉をぬる方が自然に見えるだろうか。
 ままよっ、とばかりにエレベーターに乗って会場へ向かった。

 演奏時間が終わりに近付いた頃、鼻の右下がむずがゆくなってきたので、思わず指先で掻いてしまった。すると、指先が赤く染まった。
 曲中のわずかな左手の空きに血をぬぐいながら最後の曲をなんとか弾き終えたワタシは、ひきつった笑顔でお辞儀もそこそこに逃げるように会場を後にした。
 客室的控室で鏡を見てのけぞった。顔の右下半分はまるでメイクに失敗したピエロだ。

 その後きょうまで、このホテルから演奏の依頼は来ていない。

 おしまい。 
咲き誇るカンゾウ
カンゾウ2
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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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