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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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#144 最前列の悲劇

 白熱の現地リポート・・・となっているかどうか。なれない他所のぱそこんで執筆。

「源氏物語ひとり芝居」三日目、そのクライマックスが目前に迫ったとき、それは現れた。
 黒い影は客席上手から畳に座っている多数の人々の間をすり抜けて、最前列で物語に没入しているご婦人方の前方に忍び寄った。揚琴の前で地蔵となって次のパートの演奏を待っているワタシはその動きの逐一に気づいていたが、もちろんどうすることもできない。

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 黒い影は、とうとう最前列のご婦人の間にすべりこんだ。影に気づき、それが何であるか瞬時に判断したふたりのご婦人は冷静だった。が、叫び声ひとつあげられなかったものの、さすがに顔は恐怖で凍りつき、飛びのくようにあとずさりされた。ふたりのご婦人が畳の上をあとずさりするがさがさっという音が、三田乙絵さんの語りの間をぬって会場に響く。後列の人々は、なにごとかとばかりに最前列に気を取られている。

 物語はいよいよ佳境。光源氏が藤壺の宮の前にふたたび現れ、道ならぬ道を迫っている。気の毒なご婦人方はそれどころではない。ワタシもどうすることもできない。三田さんも状況を把握しているようだが、さすが、少しも乱れることなく、クライマックスへ向けて演技はますます熱を帯びていく。

「源氏物語ひとり芝居」の三日目の公演はそのまま無事に終わり、多くの方から賛辞をいただくこととなった。あの、たったひとつの小さな黒い物体は会場を乱しはしたものの、われわれの熱意とお客さまの心遣いを無にすることはかなわなかった。

 千二百年の歴史を持つ由緒ある石山寺は淳浄館というすばらしい雰囲気の会場での、まさに思いがけないこのさわぎ。黒い影は、ふりつづく雨に閉口して、楽しそうな部屋に遊びに来たのだろう。明日はゴキブリホイホイを用意することになって、解散。
 実はこの事件には、信じられない伏線が存在した。この日の開場前の食事どき、三田さんが過去の笑い話をしてくれた。
「京都のH山荘での公演のとき、でっかいゴキブリがはい出てきて大騒ぎになって・・・」

 さあ、残り一日。がんばるのみ。

 おしまい。 
ゲンノショウコ
ゲンノショウコ
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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
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演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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