揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#736 謎
正体や出自や成り立ちや行く末がわからない存在のことを、ときに「謎」と呼ぶ。「謎」という語のニュアンスは、「不明」や「不詳」とは少し違っている。そこには、非日常的で魅惑的なニュアンスが込められている。「謎の円盤」「謎の人物」「謎めいた人」と言うとき、人は「謎」が自分を未知の魅力的な世界へと導いてくれることを知らず期待しているように思う。
正体や出自や成り立ちや行く末がわからない存在のことを、ときに「謎」と呼ぶ。「謎」という語のニュアンスは、「不明」や「不詳」とは少し違っている。そこには、非日常的で魅惑的なニュアンスが込められている。「謎の円盤」「謎の人物」「謎めいた人」と言うとき、人は「謎」が自分を未知の魅力的な世界へと導いてくれることを知らず期待しているように思う。
「謎」が「不明」と違っている点はそれだけではない。不明な事柄をあえて「謎」と呼ぶ時、そこにはその謎を解きたいという欲求が込められている。つまり、「謎は解かれなければならない」のだ。
2月7日の夜更け。ワタシはイタリアのミラノという街の位置を確認しようとした。で、イタリア付近の地図を開き、そこに地中海という字句を認めた瞬間、長く眠っていたある記憶が呼び覚まされた。ノーチラス号のことだ。
ノーチラス号は、「SFの父」フランスのジュール・ベルグの代表作「海底二万里」に登場する潜水艦だ。19世紀後半にネモ船長という「謎の人物」によって秘密裏に建造されたこの艦は、超高性能・超時代的テクノロジーを駆使する。もちろん世界初の潜水艦だ。子どもの頃に読んだこのSFの印象はまことに鮮烈で、様々なシーンが心に刻み込まれた。そして、この物語の中でワタシは、地中海という海を初めて知ったのだった。
そこでは、地中海の美しさと豊かさが、この物語の語り部である博物学者の非常な感嘆を伴って描かれていた。このとき地中海に憧憬の念を抱いたワタシ。それゆえに地中海は、ノーチラス号という記憶を開くひとつの符号となったのだ。
さてその後、調べものをしているうちに、日付が変わって2月8日となった。何らかの目的で Google を開いた所、表紙にいつもと違うロゴが使われている。よく見て驚いた。ロゴは船窓をモチーフにしていた。そして表紙は、2月8日が「海底二万里」の作者ジュール・ベルグの誕生日であることを伝えていた。つまり、ロゴのデザインに使われていた船窓は、ノーチラス号の船窓だったのだっ。
出会いとは、所詮は運命と同義だ。しからば再会もまた。ワタシは、「海底二万里」を再読するしかない運命を感じた。いつの間にかワタシは某通販サイトへ飛び、発作的に「海底二万里」上下巻を注文していた。
物語は、読者に極めて大きな「謎」を抱かせたまま終盤まで進展した。それは、ネモ船長の正体だ。あらゆる分野の科学に精通し、数カ国後をあやつり、強靭な意思の持ち主で、勇敢で、芸術を愛し、部下を愛し、紳士的でありながら、ときに何者かに対する激烈な憎悪を燃やすこの独立人が、どこの国の生まれで、何の目的でノーチラス号を造り、なぜ陸上世界と縁を切り、世界の海の航海と調査を続けているのか。それらはすべて謎のままで、物語はあとほんの数ページとなり、しかも読者には謎解きのヒントさえほとんど与えられていない。
さて、終末から3ページ前、ネモ船長はノーチラス号とともにノルウェー沖の大渦巻きの底へと消えた。消息は不明、いや、謎のままだ。しかもだ、ネモ船長とは何者だったのか、とうとう明かされずじまいで、このSF巨編は幕を下ろした。こんなことがあっていいのだらふかっ。
例えようのない欲求不満に身をよじったワタシは、自身の想像力の欠如ないし制御力の無さを呪いつつ、呆然とネットの海をさまよった。と、そこで、海底二万里の続編とも言うべき作品があること、その中でネモ船長とノーチラス号のその後が描かれていることを知った。気が付けばワタシは某通販サイトへ飛び、発作的に、この「神秘の島」を注文していたとさ。
2月7日の夜更け。ワタシはイタリアのミラノという街の位置を確認しようとした。で、イタリア付近の地図を開き、そこに地中海という字句を認めた瞬間、長く眠っていたある記憶が呼び覚まされた。ノーチラス号のことだ。
ノーチラス号は、「SFの父」フランスのジュール・ベルグの代表作「海底二万里」に登場する潜水艦だ。19世紀後半にネモ船長という「謎の人物」によって秘密裏に建造されたこの艦は、超高性能・超時代的テクノロジーを駆使する。もちろん世界初の潜水艦だ。子どもの頃に読んだこのSFの印象はまことに鮮烈で、様々なシーンが心に刻み込まれた。そして、この物語の中でワタシは、地中海という海を初めて知ったのだった。
そこでは、地中海の美しさと豊かさが、この物語の語り部である博物学者の非常な感嘆を伴って描かれていた。このとき地中海に憧憬の念を抱いたワタシ。それゆえに地中海は、ノーチラス号という記憶を開くひとつの符号となったのだ。
さてその後、調べものをしているうちに、日付が変わって2月8日となった。何らかの目的で Google を開いた所、表紙にいつもと違うロゴが使われている。よく見て驚いた。ロゴは船窓をモチーフにしていた。そして表紙は、2月8日が「海底二万里」の作者ジュール・ベルグの誕生日であることを伝えていた。つまり、ロゴのデザインに使われていた船窓は、ノーチラス号の船窓だったのだっ。
出会いとは、所詮は運命と同義だ。しからば再会もまた。ワタシは、「海底二万里」を再読するしかない運命を感じた。いつの間にかワタシは某通販サイトへ飛び、発作的に「海底二万里」上下巻を注文していた。
物語は、読者に極めて大きな「謎」を抱かせたまま終盤まで進展した。それは、ネモ船長の正体だ。あらゆる分野の科学に精通し、数カ国後をあやつり、強靭な意思の持ち主で、勇敢で、芸術を愛し、部下を愛し、紳士的でありながら、ときに何者かに対する激烈な憎悪を燃やすこの独立人が、どこの国の生まれで、何の目的でノーチラス号を造り、なぜ陸上世界と縁を切り、世界の海の航海と調査を続けているのか。それらはすべて謎のままで、物語はあとほんの数ページとなり、しかも読者には謎解きのヒントさえほとんど与えられていない。
さて、終末から3ページ前、ネモ船長はノーチラス号とともにノルウェー沖の大渦巻きの底へと消えた。消息は不明、いや、謎のままだ。しかもだ、ネモ船長とは何者だったのか、とうとう明かされずじまいで、このSF巨編は幕を下ろした。こんなことがあっていいのだらふかっ。
例えようのない欲求不満に身をよじったワタシは、自身の想像力の欠如ないし制御力の無さを呪いつつ、呆然とネットの海をさまよった。と、そこで、海底二万里の続編とも言うべき作品があること、その中でネモ船長とノーチラス号のその後が描かれていることを知った。気が付けばワタシは某通販サイトへ飛び、発作的に、この「神秘の島」を注文していたとさ。
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HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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