忍者ブログ
揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
2024-121 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 prev 11 next 01
621  620  619  618  617  616  615  614  613  612  611 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

#669 継 承 2

 作品というものは、作者の内面を映し出す。それは写真も例外ではない。報道写真であれ何であれ、被写体の向こう側に、撮影者の心がはっきりと映し出される。写真展「おんな」で展示されていた二百数十点の写真は、ほとんどが男性写真家の作品だった。それらすべてには、女性への深い尊敬と、憧憬と、驚きのまなざし、そして畏敬の念が映し出されていた。

拍手[7回]


 写真家という人種は、なんて正直なんだらふ。女性を畏れ敬い、憧れ、そして求める気持ちを隠そうとしない。が、それこそが実は、男性たるものの取るべき基本的態度ではないかと思わされる。およそこの世には、女性から生まれてこなかった人間はいないのだ。すべての男はそのことを、一日に一度は思い出すべきだ。

 ほんの数十年前の、しかし異国のような日本。そこで笑い、泣いていた女性の顔は、今よりもずっと「濃い」と前便に書いた。が、その点は、この写真展にはほとんど登場しない男性の顔もおんなじだ。心の底から感情を噴出させた者だけが放つ表情。心の底からの感情の噴出とは、畢竟生きる底力の噴出なのだと、「おんな」たちは語っていた。

 そんな時代に生まれ育った「おんな」のひとりに、マイ母がいる。思い起こせば、母の強さばかりが際立って甦る。ここにワタシの母親観が集約されている。すなわち、母とは強き存在なのだ、と。
 が、ひとりの「おんな」であったはずのマイ母。その弱さに気づいてあげることができたのは、最晩年だったように思う。それは、あまりに遅きに失した。

 写真の中の、昔の女たち。社会的にはイマドキとは比べるべくもない弱者だった。が、その弱者たちこそが、この国の土台を支えてきたのだ。すなわち、男たちの帰る場所を守り、食べさせ、休ませ、子どもを育て、さらには共に働き、戦ってきた。写真に映し出された多くの昔の女たちの表情には、その「責務」を果たす者の自負と苦悩が現れている。
 時代が母たちの強さを育んだのか、母たちの強さがあの時代を作り上げたのか。

 マイ母の顔は、写真の農村の老女たちの顔とはずいぶん違っていた。街なかで生まれ育ったからだろーか。いつまでも繊細さが残されていた。が、はじけるような笑顔はおんなじだった。いつも屈託なく、カラカラと笑った。
 ワタシはマイ母や写真の女たちのように、いつも心の底から笑えているだらふかと自問した。母から生まれながら、その美点をほとんど受け継いでいないように感じることがあるのだ。

 つづく。 
10.09.21 記 
平安神宮の大鳥居。
岡崎鳥居


PR
NAME
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS
TRACKBACK URL 
おしらせ
お問合せはホームページの "FAQ & Form" からしていただけます。
太 陽 暦
11 2024/12 01
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
New Comments
※ 非公開を希望される方はその旨お書きください。
[09/10 水戸ふぢ]
[09/05 森下知子]
[07/17 Kitty]
[05/31 Kitty]
[04/17 Kitty]
[03/13 巴だ]
[12/08 栗美]
twitter
ブログ内検索
New Track Back
ようこそ
バーコード
"巴だ リョウヘイ" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP@SAMURAI FACTORY INC.
忍者ブログ [PR]