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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
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 五月の青空は、新緑とのコントラストがなんとも美しい。もちろん秋の抜けるように高い空も美しい。空を見上げるとき、心が空っぽになるように思えるときがある。真っ青な空と真っ白な心は、ともに無限の広がりを持っている。

 きょう、「日本の青空」という映画を見た。この映画は、近代の日本人がいちばん希望に満ちて見上げたであろう、昭和21年11月3日の空をモチーフにした作品だ。主演は高橋和也さん。
 昭和21年11月3日。この日は日本国憲法が公布された日だ。世界に冠たる平和憲法誕生の日、多くの国民は大きな希望と安心とある種報われたという気持ちで、秋の果てしなく高い空を見上げたにちがいない。

 この映画は、終戦後にすぐさま作成に取りかかられた新憲法の成立過程を、鈴木安蔵という憲法学者とその妻を中心に描いている。
 終戦後、GHQ(連合国総指令部)最高司令官マッカーサーは、日本政府に新しい憲法の制定を要求するに際して、ポツダム宣言に謳われた国民主権と基本的人権の尊重、さらに軍隊の放棄を盛り込むよう指示した(この点については諸説あり。後述★)。そこで、政府は憲法調査会を立ち上げて草案を作成したが、それは天皇を中心とした旧体制をそのまま堅持しようという、ポツダム宣言をまったく無視したものであった。当然GHQは断固受け入れなかった。その後の政府の対応の遅れに業を煮やしたGHQは、独自の憲法草案を作成した。その際にモデルとした草案が、日本の民間の研究機関である憲法研究会の草案で、草案作成の中心人物が鈴木安蔵であった。

 鈴木らの草案は、明治時代の自由民権思想を基盤とした、国民主権、男女平等や差別と身分制度廃止などの基本的人権の尊重を根幹とした、非常に近代的でリベラルなものであった。GHQはこの草案を元にして作成した草案はきっと日本国民に支持されると考えた。
 ただひとつ、憲法研究会の草案には軍事条項がなかった。それは、もう二度と戦争はしない、軍隊も持たないという願いを込めて、鈴木らがあえて成文化しないことにしたのであった。
 しかし、GHQはさすがにそれでは不十分だとし、また★当時の幣原首相とマッカーサーの会談の場において幣原首相の方から戦争放棄条項が提案されたという事実も踏まえて、第九条として戦争放棄条項が盛り込まれた。
 そしてその後この草案は、国会の審議・承認を経て、日本国憲法が誕生した。

 この経緯は、現行憲法がよく言われるようにGHQによる押し付け憲法ではけっしてないことを如実に物語っている。このことを知らしめることが、実はこの映画の制作主旨なのだ。

 憲法がGHQによる押し付けでなかったのであれば、いまこの国をゆるがせている改憲問題は根拠のひとつを失う。そればかりか、押し付けが事実であったかのように改憲の理由として上げる安倍政権の主張の真意が問われることになるだろう。

 憲法誕生のこうしたいきさつは、知っている人はもちろん知っていただろうし、その人たちにすれば昨今の押し付け憲法論はばかばかしく腹立たしいものであったにちがいない。しかし、たとえ事実であっても、表に出て来ない事実は少しも事実ではないと言っていい。事実が表に出てきていないことを知らずに、風聞によってだけ自身の考えを固めることは軽率のそしりをまぬかれない。
 が、われわれは日々いかにこの軽率な言動に拠って暮らしていることか。
 憲法問題はことが国の根幹に関わることだけに、国民ひとりひとりが憲法に関わる事実をしっかりと知り、自身の考えを持つことが必要ではないかと思う。

「日本の青空」には、昭和21年11月3日の青空をけっして忘れてはならないというメッセージが込められている。この映画は事実に沿って作られた(ワタシは鑑賞前に憲法誕生の経緯をいくつかの資料で調べていたからこう言えるのだが)、よくできた作品であると思う。ただ、少々感情に訴えすぎる傾向があるのではないかと感じた。
 憲法問題は、感情的に議論されるべき事柄ではない。改憲に賛成の人も反対の人も、互いに冷静に議論すべきだ。自身の結論を相手に押し付けるのではなく、相手を論破しようとするのではなく、互いが新たな見識を持つに到れるような議論を進めるべきではないかと思う。

 その際にもっとも大切にすべきものが、事実の認識だ。事実を踏まえずして正しい議論はあり得ない。そして、数々の事実から未来を思い描く想像力を働かすことが欠かせない。
 リアリズムとイマジネーション。これらはアートの創造の基盤になるものでもある。思想についての議論もまた、アートでなければならないのではないだろうか。

 おしまい。



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京都府下農村在住。
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