#763 赦し給え

スイセンって、おいしいそうだ。
チューリップも、おいしいそうだ。
スイセンは、花から茎、葉っぱまで丸かじりに限るそうだ。
食べた本人から聞いたわけではないが、食べっぷりから想像。
さて、下の道路から玄関先までつづく坂道に点々と植えられたスイセンも、玄関先の花壇のチューリップも、一晩でぜ〜んぷ食べられてしまった。
夜中に、道路から玄関先まで、鹿が花を食べながら上ってきた。
ここは奈良公園か。

笑い事ではない。
下の道路と駐車スペースの境には、姫コブシがある。
ウチのシンボルの Magnolia。
今を盛りと真っ白な花をたくさん付けている。
この花びら、甘味がある。
ほのかな酸味も。
昔は、旅人が道中に食べて元気を付けたという。
そんなことより、美しい。
それに、せっかく四年間育てたんだってば。
まだまだ小さい。
鹿に食われてたまるものか。

そして、だ。
下の道路のすぐ横の畑用地では、これから野菜を作る。
鹿のエサを作るつもりはないぞ。

野生動物には、遠慮がない。
遠慮がない人は、動物だ。

野生動物には、見境がない。
見境がない人は、動物だ。

野生動物には、思いやりがない。
思いやりがない人は、動物だ。

で、野生動物は赦されるが、動物は赦されない。

我らの罪を赦し給え。

　おしまい。　
11.04.14 記　

食べられたチューリップ。


コブシの花。