揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#708 精 鋭
チェコ人の楽団員は8名。バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスだ。なんて味があるキャラぞろいなんだろう。秀才風から腹ぼておじさんに坊主頭。立ち姿もばらばらだ。おまけに、失礼ながら、あか抜けたいい男は一人もいない。が、その音色はアンサンブルのひとつの理想型だった。心がふるえた。涙が出た。
チェコ人の楽団員は8名。バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスだ。なんて味があるキャラぞろいなんだろう。秀才風から腹ぼておじさんに坊主頭。立ち姿もばらばらだ。おまけに、失礼ながら、あか抜けたいい男は一人もいない。が、その音色はアンサンブルのひとつの理想型だった。心がふるえた。涙が出た。
12月9日、京都会館第二ホール。チェコ・フィル合奏団によるクリスマスコンサート。ワタシの席は前から10列目の中央だった。理想的な位置で鑑賞できた幸運に、感謝せずにはいられなかった。
チェコ人の演奏家たちによるチェコの曲「モルダウ」「わが母の教え給いし歌」「ラルゴ (交響曲「新世界より」より)」を生で聴けるとあらば、誰だって期待する。で、それらの演奏が期待に違わず素晴らしかったのが、演奏した彼らがチェコ人であったからかどうか、それは実はわからない。なぜなら、彼らが演奏した「ジュピター」も「アベマリア」も同様に素晴らしかったからだ。が、「ラルゴ」の冒頭で、見たことがないチェコの大自然の夜明けの風景がまぶたに浮かび、涙が出たのは事実だ。そしてそれは、演奏者であった彼らに、故郷の自然を愛する心が息づいていたからにちがいないと思うのだ。ちがいないったらちがいないっ。
多くの曲は、楽団員に加えてバイオリンの若きソリストを交えての演奏だった。ソリストの音色は鋭く華麗で、その技と音楽性には驚嘆させられた。が、ソリスト、つまりスターがいない「あか抜けない中年男たち」だけの合奏の方が、なぜかワタシの心に響いた。その音色は、8人が渾然一体となっており、やわらかく、節度あるメリハリと嫌味のない味付けに仕上がっていた。
自在に変化するテンポと抑揚を、指揮者も無しにどうすればこんな風にぴたりと合わせられるのだらふと、初心者のような感慨を抱きつつ聴いた。職人芸という印象とともに、仲間、一座、ファミリー、そんな言葉が浮かぶ。宣伝物にうたわれていた「チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の『精鋭』たち」という言葉は、「つわもの」「エリート」というニュアンスがあって、なんだかそぐわない感じだったな。
楽団の音色は、「ジュピター」で突然豹変した。張りがあるとともに少しひんやりとした質感だ。近代的なサウンドと言ってもいい。が、あの有名なメロディーに差し掛かると、再び古典的な色合いを醸し出した。変幻自在。
擦弦楽器ばかりなのに、ときにティンパニやシンバルの音が、ときにはホルンやクラリネットやトランペットの音が聴こえる。モルダウの中間部では、なんとアイヌのムックリの音まで聴こえてきた。思わず身を乗り出して、どのパートがどうやってこのような倍音の変化を出しているのか探ったが、チェロとビオラのコンビネーションであるらしいとしかわからない。その音はけっして偶然の産物ではなく、意識的に発せられていることが、その規則性と彼らの表情から伺い知ることができた。西洋古典音楽の概念を変えさせられた一瞬だった。
終演後の岡崎公園の空気はずいぶん冷たかったが、体内の熱気が勝っていた。チェコの冬も厳しいと聞いている。白い息を吐いて歩きながら、いつまでもあか抜けることなく、愚直に自分たちの音色を、心を守り伝え続けてほしいとの願いを、楽団員諸氏にテレパシーで送ったとさ。
チェコ人の演奏家たちによるチェコの曲「モルダウ」「わが母の教え給いし歌」「ラルゴ (交響曲「新世界より」より)」を生で聴けるとあらば、誰だって期待する。で、それらの演奏が期待に違わず素晴らしかったのが、演奏した彼らがチェコ人であったからかどうか、それは実はわからない。なぜなら、彼らが演奏した「ジュピター」も「アベマリア」も同様に素晴らしかったからだ。が、「ラルゴ」の冒頭で、見たことがないチェコの大自然の夜明けの風景がまぶたに浮かび、涙が出たのは事実だ。そしてそれは、演奏者であった彼らに、故郷の自然を愛する心が息づいていたからにちがいないと思うのだ。ちがいないったらちがいないっ。
多くの曲は、楽団員に加えてバイオリンの若きソリストを交えての演奏だった。ソリストの音色は鋭く華麗で、その技と音楽性には驚嘆させられた。が、ソリスト、つまりスターがいない「あか抜けない中年男たち」だけの合奏の方が、なぜかワタシの心に響いた。その音色は、8人が渾然一体となっており、やわらかく、節度あるメリハリと嫌味のない味付けに仕上がっていた。
自在に変化するテンポと抑揚を、指揮者も無しにどうすればこんな風にぴたりと合わせられるのだらふと、初心者のような感慨を抱きつつ聴いた。職人芸という印象とともに、仲間、一座、ファミリー、そんな言葉が浮かぶ。宣伝物にうたわれていた「チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の『精鋭』たち」という言葉は、「つわもの」「エリート」というニュアンスがあって、なんだかそぐわない感じだったな。
楽団の音色は、「ジュピター」で突然豹変した。張りがあるとともに少しひんやりとした質感だ。近代的なサウンドと言ってもいい。が、あの有名なメロディーに差し掛かると、再び古典的な色合いを醸し出した。変幻自在。
擦弦楽器ばかりなのに、ときにティンパニやシンバルの音が、ときにはホルンやクラリネットやトランペットの音が聴こえる。モルダウの中間部では、なんとアイヌのムックリの音まで聴こえてきた。思わず身を乗り出して、どのパートがどうやってこのような倍音の変化を出しているのか探ったが、チェロとビオラのコンビネーションであるらしいとしかわからない。その音はけっして偶然の産物ではなく、意識的に発せられていることが、その規則性と彼らの表情から伺い知ることができた。西洋古典音楽の概念を変えさせられた一瞬だった。
終演後の岡崎公園の空気はずいぶん冷たかったが、体内の熱気が勝っていた。チェコの冬も厳しいと聞いている。白い息を吐いて歩きながら、いつまでもあか抜けることなく、愚直に自分たちの音色を、心を守り伝え続けてほしいとの願いを、楽団員諸氏にテレパシーで送ったとさ。

五十路を越え
五十路を越え何かと胸にこみ上げるものが多くなり、日常の営みの中にも多くのチャンスがめぐってくる。僕は音楽に涙することはレコードでは絶対あり得ない。感動はしても絶対にない。心を強く揺さぶるのは実演しかあり得ないとそう思い、いつかまたあなたの弦の響きに遭遇したくなった。寒いとこは苦手な君の友達(You got a friend)から。
Re:五十路を越え
君の友達さま
Thank you, my friend・・・って、誰だよ。
拍手からいただいたコメント、なんだか胸に染みて、困っちゃいましたよ。
ワタシの弦の響き、暖かい所で my friend に聴いてもらう機会、近々有りや無しや。
100弦の響きに込めたい有り余るほどのもの、五十路の心にぜひ届けたいです。
ありがとうございました。
Thank you, my friend・・・って、誰だよ。
拍手からいただいたコメント、なんだか胸に染みて、困っちゃいましたよ。
ワタシの弦の響き、暖かい所で my friend に聴いてもらう機会、近々有りや無しや。
100弦の響きに込めたい有り余るほどのもの、五十路の心にぜひ届けたいです。
ありがとうございました。
巴だ
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管理人について
HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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