#730 糸

#730　糸

「母１人で３人の子どもを育ててくれた。恩返ししたいと思っていた。移籍を伝えると、泣いて喜んでくれた」このたび世界王者インテル・ミラノに入団した長友佑都選手の言葉だ。泣かせる。さて、一流選手とともにプレイすることは、本人にどれほどの影響を与えるのか。「試合だけでなく、普段の練習も自分の力になる」と海外移籍した選手は口をそろえるという。それはよかった。

　サッカーに国境はない。音楽に国境はない。ウチの軒先にも国境はない。

　インテルには、カメルーンの世界的ＦＷエトーがいる。だれもが日本は勝てないと言ってた昨年のＷ杯カメルーン戦に先立って、エトーについて長友はこう言っていたとワタシは書いたことがある。
「エトーをカンペキに押さえて、世界の人に『あいつ、誰だ？』と言わせたい」
　長友はその決意通りエトーを封じ切って日本に勝利を呼び込んだ。世界の注目を集めたことは言うまでもない。そしてその８ヶ月後、長友は世界中の注目を集め続けるチームに入り、エトーとはチームメイトになった。なんだかすごい話だ。なんだか長友だ。

　ヨーロッパのサッカーってそんなにすごいのか。すごいのだ。たとえばこのイタリアのインテルというチーム。長友が試合に出た暁には連係することになるチームメイトは軒並みブラジルとアルゼンチンの代表メンバーだ。そしてＭＦには、Ｗ杯で日本が惜敗し後に準優勝したオランダの「輝く」司令塔シュナイデルがいる。で、ＦＷにはあのエトーだ。シュナイデルといいエトーといい、長友はなんだか深い縁を感じるに違いない。へんたいなんだか長友だ。

　それだけではない。日本代表チームのザッケローニ監督はインテルを指揮したことがあり、インテルのレオナルド現監督はその頃インテルでプレイしていた。そして二人は今も師弟関係だという。

「インテルへの移籍は早すぎないか」と問われると、長友は「自分の夢や目標があって逆算して日々努力しているので問題ない」と答えた。なんだかますます泣かせる。
　長友はカメルーン戦でつかんだ一筋の運命の糸をここまでたぐり寄せたという感がする。この糸はどこまでつづいているのか、きっと長友は知っているにちがいない。

　朱に交われば赤くなる。なんだか長友が飛び込む環境は、これまでの日本サッカーマンが誰も経験したことがないほど素晴らしい人材の宝庫だ。マイヒイキのなんだか長友の超人的体力をもってすれば、きっとさらにへんたいなんだかになることだらふ。ちばれよー。

「おい、サッカーネタは当分禁止じゃなかったのか」
　一話飛びましたゆえ、おゆるしくだされ。・・・って、言い訳になってねーよ。

　おしまい。　
11.02.05 記　

花束をいただきました。

2011/02/06 (Sun) 時　事 TRACKBACK() COMMENT(1)