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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#285 しのぎ 

 中学卒業を控えた少年を、一人の焼き物師が訪ねた。
「うちへ来んかっ」
 少年に弟子入りを決意させたものは、焼き物師の作品や技でもなければ、自分の将来像でもなかった。少年は見たのだ。彼を弟子にと願い訪れた焼き物師が腹の底から誘いの声を発したときに、その手がぶるぶるとふるえているのを。

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 人一人育てるには、我が子にでさえ大変な決意と苦労が伴う。まして他人を言わば引き取ってプロとして育てるための決意には、天与の定めではなく自分が選択したことだという意味で、さまざまな面で我が子を育てる以上のきびしさが求められるのかもしれない。それこそが弟子を採る側の試練だろう。

 一方、弟子に行く側には、自分の意思で他人に自分の人生を預けるという、たいへん大きな決断が求められる。それも、多くは年若きころにその試練が訪れる。そして弟子入り後は、多感なころであるのに自分の多くを捨てることを求められ、師の容赦なき叱責を受け入れなければならない。

 さて、このたび初めて鳥取県内で演奏した。北栄町で開催されている倉吉在住の陶芸家・河本賢治さんの作陶展の協賛イベントのメインの演目は、竹崎利信さんが語る宮澤賢治作「なめとこ山の熊」だった。竹崎さんとワタシとのコンビでの三年ぶりとなるこの出し物は河本さんのリクエストでもあったが、賢治の作品の中でワタシがいちばん好きな物語なのだ。
 河本さんとは、数年前に今はなき尼崎の珈琲の店獨木舟で出会った。獨木舟のマスターの田中元三さんは陶芸家・故生田和孝氏と旧知の間柄で、そのお弟子さんである河本さんとも長いおつきあいだった。そのご縁でワタシは河本さんと引き合わせていただいたのだ。

 生田和孝氏は、河合寛次郎に弟子入りし、面取りと「しのぎ(縞)」と呼ばれる線引きの技法に独自の境涯を見いだされた方だそうだ。前述の弟子入りのエピソードは、河本さんが生田氏に弟子入りされたときのものだ。今公演前夜に河本さんとご家族・竹崎さん・獨木舟の田中さんとともに食事をしたときに田中さんから聞かせていただいた。
 このたびの河本さんの作陶展は、氏の百回目の窯出しを記念して開かれたものだ。その全国でもまれな偉業にふさわしい演奏をとの気持ちが、弟子入りのエピソードを聞いていっそう強まったことは言うまでもない。

 エピソードはまた、河本さんが師から受け継いだ技で引かれるしのぎの線の一本一本に、師弟の出会いの喜びときびしさと愛が込められていることを教えてくれた。そして河本さんは作陶の技法だけではなく、登り窯と蹴りろくろという古来の作陶手法も受け継いでおられる。またもちろん、陶芸家の心もだ。今回の作陶展会場のあいさつ文には「粘土は焼いてしまうと元の土に還るには長い年月がかかってしまう。粘土を無駄にせず、粘土をいただいたことを感謝して精進したい」と書かれていた。

 公演のアンコール「雨ニモマケズ」では、竹崎さんが感極まって本当に泣き出してしまった。舞台では初めての「本泣き」だったそうだ。

河本賢治さんの掛分釉丸紋蓋物と生田和孝氏の白釉菊文鉢
河本蓋物 生田皿
河本賢治さんの白釉縞(しのぎ)紋花瓶。巴だ所蔵。
河本縞花瓶

 おしまい。 
 
行きがけに通ったサハラ砂漠。
サハラ砂漠
帰りに通った龍見台から浜村海岸を望む。
龍見台
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管理人について

HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

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特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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