揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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#650 川刈り
高校時代に想っていた吉永小百合似の人と久しぶりにお話ししていたら、ブザーが鳴った。ウチの玄関のブザーに似ている。と思ったら、ウチの玄関のブザーだった。なんだ、幸せな一時は夢だったのか。ぶつぶつ言いながら玄関の扉を開けると、ルイス・ファビアーノが立っていた。吉永小百合となんというギャップだ。ファビアーノが言った。「今日は『川刈り』なのである」
高校時代に想っていた吉永小百合似の人と久しぶりにお話ししていたら、ブザーが鳴った。ウチの玄関のブザーに似ている。と思ったら、ウチの玄関のブザーだった。なんだ、幸せな一時は夢だったのか。ぶつぶつ言いながら玄関の扉を開けると、ルイス・ファビアーノが立っていた。吉永小百合となんというギャップだ。ファビアーノが言った。「今日は『川刈り』なのである」
『川刈り』とは、ウチの地域を流れる小さな川に生い茂った草を刈り払う作業のことだ。毎年7月の終わり頃に、地域総出で行なわれる。そうなのだ。わかっちゃいるけど忘れてた、なのだ。
サッカーブラジル代表のルイス・ファビアーノに瓜二つの町内会長さん。定刻になってもやって来ないワタシを呼びに来られたのだった。
「今日は『川刈り』なのである」と言うファビアーノ、じゃなくて腸内細菌、じゃなくて町内会長さんの顔をじっと見つめるだけのワタシ。まだ言語中枢が働かず「今日は『川刈り』なのである」の意味をなかなか理解できずにいる。いまだにこの人は、好きだった人との甘いひとときをぶちこわした奴でしかない。坂道を上ってわざわざワタシを呼びに来たルイス・ファビアーノ、じゃなくて腸内細菌、じゃなくて町内会長さんは、ワタシの見当はずれの怒りと失望の表情にとまどい、たじろぎ、しかしすぐにブラジル代表の威厳を取り戻し、厳かにおっしゃった。
「来れそうであるか」
「・・・・・」
「ゆっくりにて良ろしかれば、ぼちぼち来られたし」
「・・・・・」
午前9時、なが~い柄の先に大きな鎌を取り付けた長柄と呼ばれる草刈り鎌をかついで、歩くと砂埃が舞う川沿いの林道を、ゴム長ばきで一人上流へ向かった。気温はすでに32℃は下るまい。作業はあと2時間。しっかり水分を補給しないとひからびてしまう。巴だの干物だ。冷や素麺の出汁だ。
こんな猛暑の日に限って、半数近くの世帯が欠席だ。けしからんっ。・・・この日を完全に忘れていたお前に文句を言う資格はないと言われそうだ。はい、その通りでする。資格も三角もございませぬ。なんでもま〜るく納めまする。って、さっき角を立てたばっかりじゃなかか。
にしても、なぜこんなに暑い時期に野外共同作業を行なうのか。はっきり言って重労働だぜ。
五年前に当地に越して来たワタシが聞くところによれば、川刈りは単なる野外共同作業ではなく、地域の親睦を図るために長く続けられてきた「行事」の側面を持っているそうだ。だから、そもそもは能率や成果にそれほどこだわりはなかったのやもしれない。が、そうだとしてもそれは、なぜ「わざわざ」この猛暑期に行なうのかという問いに対する答にはなっていない。
やっぱ、昔はこんなに暑くなかったんじゃないか。
「暑いから、みんなで川に集まって涼もうかい。水遊びする場所を作るのに草を刈ろうかい。ついでに回りの草もちょちょいと刈ってから遊ぼうかい」
てな程度の暑さだったんじゃないかい。それに、住民も今の何倍もいたし。
うん、そうにちがいない。そうに決まってる。
きょうは川刈りのお蔭でぐっすり眠れそうだ。ルイス・ファビアーノの夢を見てしまったらどうしよう。
サッカーブラジル代表のルイス・ファビアーノに瓜二つの町内会長さん。定刻になってもやって来ないワタシを呼びに来られたのだった。
「今日は『川刈り』なのである」と言うファビアーノ、じゃなくて腸内細菌、じゃなくて町内会長さんの顔をじっと見つめるだけのワタシ。まだ言語中枢が働かず「今日は『川刈り』なのである」の意味をなかなか理解できずにいる。いまだにこの人は、好きだった人との甘いひとときをぶちこわした奴でしかない。坂道を上ってわざわざワタシを呼びに来たルイス・ファビアーノ、じゃなくて腸内細菌、じゃなくて町内会長さんは、ワタシの見当はずれの怒りと失望の表情にとまどい、たじろぎ、しかしすぐにブラジル代表の威厳を取り戻し、厳かにおっしゃった。
「来れそうであるか」
「・・・・・」
「ゆっくりにて良ろしかれば、ぼちぼち来られたし」
「・・・・・」
午前9時、なが~い柄の先に大きな鎌を取り付けた長柄と呼ばれる草刈り鎌をかついで、歩くと砂埃が舞う川沿いの林道を、ゴム長ばきで一人上流へ向かった。気温はすでに32℃は下るまい。作業はあと2時間。しっかり水分を補給しないとひからびてしまう。巴だの干物だ。冷や素麺の出汁だ。
こんな猛暑の日に限って、半数近くの世帯が欠席だ。けしからんっ。・・・この日を完全に忘れていたお前に文句を言う資格はないと言われそうだ。はい、その通りでする。資格も三角もございませぬ。なんでもま〜るく納めまする。って、さっき角を立てたばっかりじゃなかか。
にしても、なぜこんなに暑い時期に野外共同作業を行なうのか。はっきり言って重労働だぜ。
五年前に当地に越して来たワタシが聞くところによれば、川刈りは単なる野外共同作業ではなく、地域の親睦を図るために長く続けられてきた「行事」の側面を持っているそうだ。だから、そもそもは能率や成果にそれほどこだわりはなかったのやもしれない。が、そうだとしてもそれは、なぜ「わざわざ」この猛暑期に行なうのかという問いに対する答にはなっていない。
やっぱ、昔はこんなに暑くなかったんじゃないか。
「暑いから、みんなで川に集まって涼もうかい。水遊びする場所を作るのに草を刈ろうかい。ついでに回りの草もちょちょいと刈ってから遊ぼうかい」
てな程度の暑さだったんじゃないかい。それに、住民も今の何倍もいたし。
うん、そうにちがいない。そうに決まってる。
きょうは川刈りのお蔭でぐっすり眠れそうだ。ルイス・ファビアーノの夢を見てしまったらどうしよう。

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管理人について
HN:
巴だ リョウヘイ
性別:
非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
演奏活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
特 技/晴れ男であること。
オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
2018年、京都府下農村から大阪府下住宅街に移住。
今も雨乞い師見習い。
今も自然農見習い。
ノアのおとうちゃん。
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演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)
コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「FAQ & Form」のページからどうぞ。
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オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。
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