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揚琴、オカリナ & インディアンフルート奏者がつづるいろいろばなし。
音楽、田舎暮らし、自然・環境、時事、ほかいろいろ。
どうぞ、ごゆっくり。
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先日からオカリナの練習ガイドのようなものを書いている。
書き進むほどに難しさがいや増すがやりがいも感じる。
いずれネット上に公開したいと思っている。
今便にその一部を試験公開してみようと思う。

ではでは、はじまりはじまり。


_____________________________________

Ⅶ 良いピッチを得るための練習

せっかくの美しいヴィブラートがかかった音色も、ピッチが合ってないと耳障りになります。
生き生きとしたリズミックな演奏も、ピッチがあってなければひとりよがりに聴こえてしまいます。
合奏の中で一人だけピッチが合ってないだけで、合奏全体が不意になってしまうこともあります。
ピッチ合わせはあらゆる楽器の演奏の基本ですが、オカリナの場合は最難関の課題でもあります。
イタリアのオカリナ奏者ファビオ・ガッリアーニ氏は、来日公演の際「演奏中にもっとも気をつけていることは何か」と問われ「ピッチを正確に取ることだ」と即答しました。

この章では、良いピッチを得る方法をチューナーを生かしながら探ります。


── ピッチ合わせのための七つの基礎知識 (略)また今度。。。

── チューナーの使い方 (略)

── 合奏でのピッチ合わせ (略)


── 良いピッチとは?

オカリナを吹くときは、いつも良いピッチで吹くことを目指しましょう。
さて、良いピッチとは正確なピッチのことではありません。

正確なピッチとは、チューナーの針が真ん中を指してぶれないピッチです。
オカリナですべての音をこのように吹くことは人間には不可能です。

では、良いピッチとは何でしょう?
「限りなく正確なピッチ」でしょうか?
たしかにチューナーを使ってピッチの練習をするときは、そのようなピッチを目指しています。
では、こうして得られるピッチだけが良いピッチでしょうか?
僕は違うと考えています。

良いピッチとは、良い音と一体になっているピッチだと思います。
良い音とは、「音楽的に整っていて人間らしい感情が込められた音」と言えそうです。
では「良い音と一体になっている」とは、どんな関係のことなのでしょうか?

「音楽的に整っていて人間らしい感情が込められた音」とは、正確無比なピッチやテンポで演奏される音のことではありません。
感動を呼ぶ素晴らしい演奏の音の流れの上には、正確ではないピッチやテンポが次々に現われます。
が、ピッチもテンポも強弱の変化も、すべての表現は音楽的な許容範囲に納まっています。
そして前後上下の音と有機的な繋がりを保っています。(※ Step Up 1)
このように音楽的許容範囲に納まり有機的に繋がっている音が、「音楽的に整っていて人間らしい感情が込められた音」です。

では良い音とピッチとはどんな関係にあるのか、調べてみましょう。

譜 例 3


譜例3では re からフレーズのピークであるfa に向けてクレッシェンドするので、メロディーが進むに連れて音量を大きくしていきます。(※ Advanced)
その背景には感情の高まりがあります。
ですから、fa がの二つありますが、これらを同じように吹いては不自然です。
fa の方が感情が高まっていて音量も大きいので、fa よりも強く吹くべきです。
ということは、fa の方がピッチが高くなるのが自然です。
同様の理由で、fa とfa の間の mi, re, do も正確なピッチより高く吹くのが自然です。
(特に do はクレッシェンドで吹く)
ただし、これらの音は音楽的に整っていて初めて「良いピッチ」が得られます。(※ Step Up 2)

これが、良いピッチは「良い音=音楽的に整っていて人間らしい感情が込められた音」と一体になっているということです。
良い音は良いピッチを伴っていると言い換えることもできます。(※ Step Up 3)

もうひとつ大切なことは、譜例3のソ以降の音は「限りなく正確なピッチ」に戻すことです。(※ Step Up 4)
そうしないとこのフレーズはずいぶん荒々しい流れになってしまいかねません。
次のフレーズへのつながりもたいへん不自然になります。

譜 例 4


譜例4は、感情の流れによってピッチを低くとる例です。
イ短調の曲です。

上のパートでは3小節目の1拍目のラと4小節目の1拍目のラのようにラが続きます。
ラとラは同じように吹けばいいでしょうか?
下のパートを見てみましょう。
3小節目の1拍目は#ド、4小節目の1拍目はナチュラルのドです。
3小節目は、#ドによってイ短調からイ長調に転調しています。
つまり、曲想がそれまでの沈んだ感情から開けた明るい感情に変化しています。
そして続く4小節目では、ドがナチュラルになることでイ短調に戻っています。

上のパートのラとラは、このような曲想の変化に応じて吹き分けるのが自然な演奏です。
つまり、ラはラよりやや低めに吹くことで、短調らしい沈んだ曲想とそこへ至る変化を明確に表現できます。(※ Step Up 5)


このように、良いピッチとは、正確ではなくても音楽的許容範囲に納まり、前後上下の音のピッチと有機的に繋がっているピッチだと言えます。


 まとめ

・良いピッチは良い音と一体になっている
・強弱・曲想の変化に応じて同じ高さの音でもピッチは変化する
・感情の流れが強弱・曲想の変化を作る
・高くなったピッチは必ず適切なタイミングで適切なピッチにもどす



【Step Up 1】 詳細情報

いい演奏では、美意識と知性と技術が生かされているからこそ表現が音楽的(美的)な許容範囲に納まり、人間らしい感情が込められているからこそ音が有機的に繋がっています。
「音楽的な許容範囲」「有機的な繋がり」は抽象的な表現ですが、それらを定義してきたものは人間の美的感性だと思います。
美的感性という言葉もまた定義が難しいですが、個人的または地域的・民族的なものではなく、人類普遍のグローバルな感覚であると捉えれば、「音楽的な許容範囲」はかなり広いものであり「有機的な繋がり」はずいぶんゆるやかなものだろうと想像でき、ほっとします。

【Step Up 2】

音の強弱、テンポ、ピッチ、音色、響きなどに多様な変化を与えるエネルギーが「人間らしい感情」です。
測ることも型にはめることもできない感情=エネルギーを、正確なピッチだけで表現することはできません。
ときには少し高いピッチや低めのピッチが感情の流れを適確に表現します。

【Advanced】 上級情報

「fa mi re do」という下降形のメロディーをクレッシェンドしていくことは、実際はオカリナには不可能です。(高い音ほど強く吹く必要がある楽器だから)
が、(厳密に書くと)mi を正確なピッチよりやや高く、re をもう少し高く、do をさらに高くクレッシェンドで吹くことで、この流れにクレッシェンド感を与えることができます。
でもこういう場合は、厳密な形より感情の流れを大事にして演奏するのがいいと思ってます。

【Step Up 3】

これらを「限りなく正確なピッチ」で吹くと、平坦で感情の高まりが伝わってこない演奏になってしまいます。
そればかりか、fa とfa を均一に吹くと、fa の方が低く聴こえてしまいます。
感情の流れに反しているからです。
また、一時の個人的で不安定な感情にまかせて極端に強く高く吹いてしまったり、感情がこもらない棒吹きや力不足でピッチが下がってしまったりすると、前後の流れが途切れ全体の調和が崩れてしまいます。

【Step Up 4】

ラは4分音符で短い音ですが、この音を吹いた瞬間からピッチを下げ始めることができれば理想的です。
吹いた瞬間に身体の力を抜くとうまくいきます。

【Step Up 5】

実際の演奏ではピッチだけではなく、タンギング、音色、ヴィブラート、音の立ち上がりも変化させると思います。
なお、ラとラのどちらが正確なピッチに近いかは一概に言えません。
それまでの演奏の流れや奏者の意図によって自ずと定まってくるものだと思います。



 おしまい。
 

16.08.31 記 

夕暮れどきのサトイモは美しい


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管理人について

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巴だ リョウヘイ
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非公開
職業:
揚琴・笛演奏屋 オカリナのセンセイ
趣味:
ほしい。
自己紹介:
 
演奏活動歴/揚琴、27年。オカリナ、16年。
活動範囲/全国の都心から山間地まで。
演奏場所/ホールからお座敷まで。オカリナは野外歓迎。
演奏目的/オープニングセレモニーから追悼演奏まで。
演奏形態/独奏から異業種間共演まで。
所属事務所/Magnolia Music(自分的オフィス)

コンタクト方法/上記のホームページ(HP)の「Contact」のページからどうぞ。

特 技/晴れ男であること。

オカリナ倶楽部 “夢見るガチョウ” 主宰。

京都府下農村在住。
雨乞い師見習い。
自然農見習い。
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